民間施設誘致の核に 県庁前県有地 市場調査の結果公表(栃木県総合政策課)

[2023/12/12 栃木版]

 県総合政策課は11日、県庁前の県有地の利活用に係るサウンディング型市場調査の結果を公表した。事前説明会には12者、サウンディングには10者が参加し、栃木会館跡地は医療施設やオフィス、ホテル、スーパー、カフェ・レストラン、分譲マンションなど、宇都宮中央郵便局跡地にはホテル、カフェ・レストラン、分譲マンション、バスケットボールコートなどを導入する提案があった。県では今後、サウンディングの結果や宇都宮市のまちづくりの動向などを踏まえながら、栃木会館跡地と宇都宮中央郵便局跡地の利活用の方向性を検討する。

 同課では、県庁前の県有地について「シンボルロードを含めた県庁周辺は、公共公益施設や文化施設などの都市機能が集積する重要な地域」であるとして、今後の利活用方針を検討するに当たって民間活力の導入による利活用の可能性や手法、課題等を把握することを目的に、民間事業者から幅広く意見・提案等を募るサウンディング型市場調査を実施した。

 サウンディングの対象は、栃木会館跡地(宇都宮市本町12-1)の面積約6150平方mと、宇都宮中央郵便局跡地(宇都宮市本町12-7)の約1600平方m(シンボルロードを将来拡幅した場合の想定面積)。8月28日にサウンディング実施要領を公表し、9月11日に事前説明会を開催。10月30日と11月1日、2日、7日の4日間サウンディング(対話)を実施して、その結果を取りまとめた。

 それによると、対象地のポテンシャルとしては「集客性の高い機能・施設を導入することで、周辺への民間施設誘致の核となりうる」や「生活や交通の利便性が高く、まちなか居住を促進する環境として優れている」、「県庁前の敷地であり、宇都宮市の高度利用地区指定区域として、計画次第で相当なポテンシャルを得ることが期待できる」、「住居施設や商業施設等のポテンシャルはある」などの意見があった。

 その一方、課題として「中心市街地、大通り沿いはマンション建設が盛んで、新規住民が増加しており、住民のコミュニティ形成等の住環境の整備が必要である」や「中心市街地の人口は回復傾向にあるが、単身世帯が多く、子供のいる家族世帯が少ない」、「栃木会館跡地は人が集まる場所だとは思うが、駐車場を整備できる面積が限られており、公共交通機関のみで集客することは難しい」などの意見があった。

 民間施設の導入内容は、栃木会館跡地については「医療機能」として医療施設、健診センター、「教育機能」で保育・学童施設、「業務機能」でオフィス、会議室、レンタルスペース、「商業機能」でホテル、スーパー、カフェ・レストラン、スポーツショップなど、「居住機能」で分譲マンション、「スポーツ・交流機能」でサッカー・野球グラウンド、スポーツ広場、公園・広場、イベントスペース、クラブハウス、サイクルステーションなど、「その他機能」で駐車場の提案があった。

 宇都宮中央郵便局跡地では、「商業機能」でホテル、カフェ・レストラン、「居住機能」で分譲マンション、付加価値型住宅、「スポーツ・交流機能」でバスケットボールコート、広場、イベントスペース、「その他機能」で駐車場が提案された。このほか、「栃木会館跡地の容積率を消化するためには、住居やオフィスを入れる必要がある」や「オフィスで一定の容積率を消化するためには、自社ビルやキーテナントによる利用が必要」といった意見もあった。

 事業スキームは、栃木会館跡地については土地購入、定期借地権、土地無償貸与、DB・DBO方式、Park-PFI、指定管理者制度、宇都宮中央郵便局跡地については土地購入、定期借地権、土地無償貸与、指定管理者制度の提案があった。

 栃木会館は、かつて県庁の南正面にあったホールとオフィスビルの複合施設で、老朽化や耐震強度の不足から2016年に閉館した。その後は解体されて現在は芝生広場となり、暫定的にイベントなどの際に貸し出されている。また宇都宮中央郵便局は、2000年に宇都宮市中央本町の旧栃木県済生会宇都宮病院跡地へ移転した際、跡地は県に引き渡されて新県庁舎建設期間中の仮庁舎として利用された。現在は駐車場として利用されている。

 対象地の利活用に向けて県は、民間活力の導入を検討するためサウンディング型市場調査を実施。実施にあたって民間活力導入市場調査業務委託に係る公募型プロポーザルを実施し、八千代エンジニヤリング関東センター(埼玉県さいたま市)に業務を委託していた。

 同課では、今回のサウンディングで導入施設や土地利活用の内容、それを実現するための事業スキームなどさまざまな意見や提案が得られ、民間活力導入の可能性や手法などを概ね把握することができたとしており、今後、宇都宮市のまちづくりの動向なども踏まえながらこれら跡地の利活用の方向性を検討していく考え。

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