約64haを区画整理 百頭・県地区 来年度から事業着手(栃木県農地整備課)
[2023/12/7 栃木版]
県農地整備課は2024年度から、県営農地整備事業(機構関連型)で足利市の百頭・県地区に着手する。農地中間管理機構関連の農地整備事業は県内3件目で、農地の大区画化やICT自動給水栓の導入、排水路の暗渠化、区画内道路の整備などで農業生産性を向上させるとともに、農地の集積・集約化を図る。事業期間は30年度までの7年間で、工事は26年度から29年度までの4カ年で実施。総事業費は約19億7000万円で、このうち工事費が約18億1000万円となっている。
県内3例目の機構関連型で
百頭・県地区は、足利市南部の東武伊勢崎線県駅南側に広がる農地で、協和中学校の周囲に位置する。太田頭首工を水源とした渡良瀬川右岸の水田地帯で、水稲や麦のほか、施設園芸が盛んに行われている。この地区では過去に耕地整理事業を導入した経緯があり、区画は整っているが20a程度の小区画水田となっている。
また道路は狭い土砂道で、排水路も土水路となっていて大型機械による耕作ができず、農業経営の規模拡大や農地の集積に支障を来たしていることから、農地の大区画化やスマート農業に対応した基盤整備が必要となっていた。このため県は、県内3例目の農地中間管理機構関連農地整備事業を活用した整備を行う。
事業内容は区画整理工64.1ha(水田63.8ha、畑0.3ha)で、内訳は整地工が64.1ha、用水路工が9.4km、排水路工が6.4km(開水路5.0km、菅水路1.4km)、道路工が8.5km(舗装4.8km)、および暗渠排水工が55.2ha(本暗渠47.1ha、地下かんがいシステム8.1ha)となっている。
事業により、地域は土地利用型エリアと施設園芸エリアの2つにゾーニングする。土地利用の秩序化を図るため、農業用ハウス移設による団地化を促進し、農作業の効率化と生産性の向上を図るほか、露地野菜などの高収益作物の導入を推進する。
農地は66%を1ha区画、25%を50a区画に大区画化し、大型機械導入による農作業の効率化を図る。ICT自動給水栓を導入し、農業用ハウス周辺の排水路は暗渠化するとともに、地区内に6m道路を導入して大型トラックや大型機械の搬入を可能にし、農業生産性の向上を図る。
事業の予定期間は、24年度から30年度までの7年間。このうち設計は24年度下半期から25年度末までの期間でまとめ、工事を26年度から29年度までの4カ年で実施する。30年度には、換地処分を行って事業を完了させる。
総事業費は、測量設計費と用地補償費が各約8000万円、工事費が約18億1000万円の計19億7000万円で、国が62.5%、県が27.5%、市が10.0%を負担する。
この事業により、農地の大区画化やICT自動給水栓、水路の暗渠化などスマート農業に対応した農地整備を実施し、担い手への農地の集積・集約化や、農作業の効率化などを図るとともに、米麦と施設園芸との複合経営の規模拡大を図ることで、収益性の高い農業の実現に取り組み、効率的で安定的な農業経営体の育成を目指す。
農地の集積は、目標年度の35年度までに84.2%の農地集積(現況65.5%)、76.3%の農地集約化(現況14.4%)を目指していく。