処理場復旧に26億円 台風被害対応で事業費を増額(日立市補正)
[2023/12/7 茨城版]
日立市は、定例市議会に11億7880万円を追加して総額を816億2839万円とする一般会計補正予算案を提案する。主なものでは、9月にあった台風13号による市内の被害を受けて一般会計で11億8909万円を追加するほか、下水道事業会計の補正予算案にも池の川処理場の復旧工事費に26億円を確保するなど、企業会計を合わせて災害復旧関連に総額39億4000万円を追加した。このほか、吉田正音楽記念館の空調設備の改修へ9388万円の2カ年継続費を設定する。
9月8日の台風13号被害への対応では、9月27日に専決処分した第4号補正で30億2556万円を追加するなど、今回と合わせて災害復旧関連経費の総額を72億3000万円(下水道会計含む)とした。
公共施設の主な復旧工事費をみると、市道復旧(35路線分)に5億4815万円、河川や排水路の災害復旧(16河川分)に2億3975万円を増額した。このほか、本庁舎災害復旧事業費として、2億3290万円を増額し、浸水被害を受けた本庁舎で免震装置点検や浸水対策の概略設計、各種設備の復旧工事を復旧工事を実施していく。市管理河川の流域治水計画では、局部改修などが必要となる箇所について、基本設計などの追加業務を行う。
下水道施設では当時、池の川処理場の機械設備などが水没したほか、ポンプ場では7カ所(茂宮、東町中継、滑川中継、会瀬中継、桐木田中継、河原子中継、田沢中継)に浸水被害があった。池の川処理場では、敷地南側にある泉川の増水などにより、ポンプ設備や掻き寄せ機などの機械設備を中心に浸水。その後、仮復旧を行い、被災から約2週間後に手動での通常運転を開始した。
9月には国の査定を受け、今回の補正で事業費を計上した。24-25年度の2カ年で、被災した設備の入替などを進めていく。今回は、処理場の復旧工事費のほかに、各中継ポンプ場の復旧工事費に1億1620万円も確保している。
市の災害復旧に向けた取り組みでは、市民懇話会による検討や、市内部に設置した災害復旧推進会議による市災害復旧基本計画の策定に向けた協議が進められている。災害復旧推進会議には、所管ごとに6つの部会が設置され、総務部会では庁舎安全対策専門検討会などを設置して防災体制や本庁舎の浸水対策などを検討。都市建設部会では、道路復旧や土砂・がけ崩れに関することとのほかに、河川・治水計画専門検討会により、河川の復旧・治水対策について検討を進めている。
基本計画については、12月中に骨子案をまとめたあと、来年2月までに素案を策定し、3月中に最終案をとりまとめる。基本計画の実現に向けては、実施計画となる個別計画を策定し、(仮称)庁舎安全対策計画や河川の治水計画など、個別ごとに詳細な復旧対策を定めていくもようだ。
このほか、04年4月にオープンした吉田正音楽記念館では空調設備の更新工事を行う。完成後20年近くが経過し、猛暑日などには効きが悪いことがあるため、全館の空調設備を更新する。工事は24年2月から9月ごろにかけて空調設備の改修工事を実施する。
平和通りでは、桜の更新工事費693万円を確保し、樹勢診断に基づき危険木10本の伐採を行う。日高町にあるいわわき児童公園では、法面対策工事の工法変更に伴い、工事費1600万円を追加する。