候補地を2カ所に 新公会堂 次回の市民委で決定へ(古河市)
[2023/12/2 茨城版]
古河市は市役所総和庁舎特別会議室で、「新公会堂(仮称)基本構想・基本計画市民委員会(委員長・小林真理東京大学院教授)」の第3回会合を開催した。会合では、▽建設候補地の評価▽調査報告の結果▽基本理念──について話し合った。前回の会合では、建設候補地を2つの建設エリアから3カ所を提案していたが、今回の会合では「古河駅周辺から古河駅東部周辺エリア(Aエリア)」に位置する2カ所を候補地に絞り込んだ。今後は、今月に開催予定の第4回委員会で1カ所に決定する予定。新公会堂の基本構想・基本計画は24年度末までにまとめ、28年度に着工し、30年度ごろに開館する見通しだ。
建設候補地については前回、「古河駅周辺から古河駅東部周辺エリア(Aエリア)」と「諸川周辺エリア(Bエリア)」の2つのエリアから、必要な敷地面積1ha以上が確保できることを条件にAエリアから2カ所、Bエリアから1カ所の合計3カ所を抽出。大堤地内で予定する未来産業用地開発事業に関する地域未来投資促進法について、委員から「もう少し理解してから検討したい」という要望が出されたため、候補地の絞り込みを先送りした。
候補地1は、十間通り沿いの旭町2丁目21-4の古河体育館が立地する市有地で、敷地面積は約1ha。JR宇都宮線古河駅からは約1.7kmに位置し、周辺には飲食店や住宅が建ち並らぶ。古河体育館は施設の老朽化に伴い21年9月に閉鎖されたが、既存建物は残っている状況だ。
候補地2は、大堤地内の民有地で敷地面積は約17ha。古河駅からは約1kmに位置する。予定地は主に農地で、未来産業用地開発事業が予定されている。
候補地3は、諸川地内の旧古河産業技術専門学院跡地の市有地で、敷地面積は約3.3ha。古河駅からは約9kmの距離となる。敷地内には既存校舎や樹木、野球場などが残っている。
抽出された3カ所について、[1]上位計画の位置づけ[2]交通の利便性[3]災害のリスク[4]周辺環境[5]周辺まちづくりとの連携[6]敷地[7]許認可など[8]事業スケジュール[9]市民意向[10]事業の実現可能性──の10項目で評価して点数化した結果、総合評価点が高かった候補地1の旧古河体育館跡地と候補地2の大堤地内の2カ所を選定した。
調査報告では、新公会堂の建設候補地選定にあたり、民間事業者から事業のポテンシャルや実現可能性について意見を聴取したプレサウンディング調査報告を明示。調査はデベロッパーや商社、ホール運営事業者など10社を対象とし、11月6日時点で回答のあった8社の意見を公表した。
基本理念では、市が目指す姿の「だれもが気軽に文化芸術を体感し、表現できる空間と、次世代への機会の創出」を目指し、[1]古河市文化芸術振興の中心地[2]賑わいがうまれ、活気にあふれる空間[3]新たなコミュニティを育てる「よりどころ」[4]次世代に向けた文化芸術活動の拡大──を基本的な役割とするコンセプト案を提案した。
第4回市民委員会では候補地を1カ所に絞り込むほか、建物の規模や機能、概算事業費、事業のスケジュールなどについて協議する見通しだ。
基本構想・基本計画策定支援業務は、シアターワークショップ(東京都渋谷区)・日本工営都市空間(東京都千代田区)JVが担当。基本調査報告書(アンケートなど)は24年1月、中間報告書は24年9月、民間活力導入可能性調査報告書と基本構想・基本計画は25年2月までにまとめて公表する予定だ。
市には、市民の文化芸術を支える集客施設がないため、課題となっている。新公会堂のあり方は、市民の文化芸術活動と交流の拠点機能をメインとしながらも、県西地域の中心的都市の運営に欠かせないコンベンション機能などを備えた施設とする。さらに、市のランドマークになるような施設で市民が誇りと愛着を持ち、市外の人も訪れたくなる文化芸術の拠点施設とする。また、災害時の拠点として、市民の安心と安全を確保する施設として整備していく。
事業のスケジュールは、23-24年度で基本構想と基本計画をまとめて、26-27年度には基本設計と実施設計の策定、28-30年度に建設工事を実施し、30年度中の開館を見込んでいる。