県植物園で設計費 台風13号の災害復旧に53億円(県補正)
[2023/11/29 茨城版]
大井川和彦知事は28日、県庁で記者会見を開き、12月6日に開会する定例会の提出議案を明らかにした。このうち、一般会計補正予算案には56億1600万円を追加し、総額を1兆3151億6300万円とする。主なものでは、県植物園のリニューアル工事に伴う基本設計委託料に8800万円を計上。また、台風13号に伴う災害復旧費などに53億1300万円を予算化した。
主な事業のうち、植物園等魅力向上対策事業では、リニューアルに向けた基本設計委託料に8800万円を予算化した。23年度内に基本設計をまとめ、24年度に実施設計と工事を行い、25年4月ごろのリニューアルオープンを目指す。
この事業は老朽化や利用者減少が進む県植物園と県民の森のリニューアルを行うもの。整備の際には、民間のアイデアを活用し、新たなコンセプトを導入することを想定する。20年には基本構想をそら植物園(大阪府池田市)で策定。基本構想では、地域の観光資源となるオリジナリティーあふれる植物園を目指し、植物園型リゾートや植物園型テーマパークという発想で施設整備の検討が必要だと指摘された。なお、概算事業費については、約30億円と試算した。
基本構想で既存施設の現状を分析したところ、スタンダードな樹種が多数植えられ特色がないことや、施設内に管理不良で対応が必要な枯損樹木など、見直すべき箇所が多数存在していることが判明。そこで県では、既存施設の問題点を整理し、マーケティングや他類似施設の状況を踏まえ、賑わいを作り、地域の観光資源となるオリジナリティー溢れる植物園を目指していくとした。その際には、植物園型リゾートや植物園型テーマパークという発想で施設整備の検討が必要だと明記している。
この課題を受けて県では10月末にリニューアルに向けた基本計画の公募型プロポーザルの手続きを開始し、11月22日には事業者にザファーム(千葉県香取市)を選定した。基本計画は、24年1月中にも策定し、1月下旬ごろから基本設計に着手する。入札方式は公募型プロポーザルを想定している。設計の対象は、既存施設の改修や観光拠点施設の新築などとなる。
社会資本整備では、台風13号に伴う災害復旧の事業費に総額53億1300万円を確保した。このうち、国補公共事業には17億3900万円、県単公共事業には35億7400万円を盛り込んだ。
国補公共事業の内訳をみると、河川課では13億5000万円を配分し、河川や道路における護岸・法面崩壊、土砂崩れの災害復旧を行う。対象となるのは、河川で高萩市の関根川ほか29カ所、道路で日立市の日立山方線ほか11カ所となる。
林政課では1億0200万円を計上し、日立市の林道小木津線で路肩崩壊や法面訪韓の復旧を行う。また、農村計画課では2億8700万円を確保し、農地と土地改良施設の災害復旧を実施する。対象となるのは、日立市小木津町での農地土砂流入や、北茨城市神岡上での農業用ため池堤体法面崩れなど100カ所となる。
県単公共事業の内訳をみると、道路維持課では道路補修費に15億円を予算化。これは危険箇所の法面対策や側溝清掃、注意喚起施設の設置などを行う。対象となるのは、日立山方線ほか26カ所となる。
河川課では河川補修費に4億円を計上し、樹木伐採や流木撤去を行う。対象は北茨城市の里根川ほか12カ所となる。また、河川防災費には14億4000万円を計上。事業内容では、里根川ほか15カ所の護岸改修や、日立市の鮎川ほか19カ所の土砂浚渫、里根川ほか2カ所の河川カメラ設置などを予定する。砂防施設補修費には5000万円を確保し、日立市の会瀬北ほか4カ所で除草・樹木伐採を行う。県単砂防費には1億6200万円を予算化し、鮎川ほか6カ所で砂防関係施設の整備を実施していく。
林業課では県単治山事業費に2200万円を計上。北茨城市華川町小豆畑での山腹崩壊や、日立市諏訪町で渓流侵食の復旧を予定する。
このほか、被災事業者再建支援事業には2億1500万円を確保した。これは、台風13号の被害を受けた事業者に対して、復旧費の一部を支援するもの。補助対象は日立市と高萩市、北茨城市の被災事業者とし、建物修繕費や機械設備の修繕費、業務用車両の修繕費などが対象となる。補助の申請開始は24年1月を予定する。