上・中鉢石町など「妥当」 公共事業評価委 武子川深津工区は事業費増
[2023/11/28 栃木版]
県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は27日、県庁で本年度第2回の委員会を開き、県土整備部所管事業7件、農政部所管事業3件の事前評価と県土整備部所管事業1件の再評価を行った。このうち、国道119号の日光地上・中鉢石町工区と一級河川永野川の栃木市大平町下皆川地先の事前評価は大規模事業となることから個別審議案件となり、委員から事業着手が妥当であるとの意見が提出された。また一級河川武子川の鹿沼市深津工区は、前回評価時から推定事業費に大幅な変更があるため再評価を実施。その他の事業は中規模事業のため報告案件となり、所管課から事業の内容を委員に報告して意見や提言を受けた。
県は総事業費10億円以上の事業について、事業実施の前に公共事業評価委員会で事前評価を実施している。このうち、10億円以上30億円未満については報告案件とし、事業内容を委員に報告。30億円以上は審議案件となり、事業実施が妥当かどうかを委員が審議する。また再評価は、事業計画に大幅な変更があるものや推定便益・推定事業費の変更がプラスマイナス10%を超える事業などについて重点的な審議(個別審議)を実施する。
今回審議した案件のうち、道路事業の国道119号上・中鉢石町工区は、歩道の拡幅や美装化、電線類の地中化などを行い、安全・安心で魅力ある道路空間を整備するもの。事業区間は日光市上鉢石町~中鉢石町までの総延長420mで、現況の幅員15.0mから17.0mに拡幅し、歩道を両側各1m拡げるなど再配分する。
総事業費は、測量設計費約2億円、用地費約25億円、工事費約8億円の計約35億円となる見込み。事業スケジュールは、24年度から25年度前半で測量設計をまとめ、25年度後半から用地取得に着手して、工事を27年度から33年度までの7年間で実施する。あわせて、昨年7月の豪雨でがけ崩れが発生したことから、急傾斜地崩壊対策事業(上鉢石町A)も一体的に実施する。
委員からは、急傾斜地崩壊対策事業との一体的整備について質問があり、担当課は「道路拡幅に伴い沿線の店舗や住宅を取り壊し、更地の状態で法面対策を実施して、対策が完了し次第、建物を改築する。法面対策の詳細は、今後の設計の際に検討するが、一体的整備により建物の改築は1度で済む」と説明した。
同じく審議案件となる一級河川永野川の栃木市大平町下皆川地先は、JR両毛線橋梁を含む総延長600m区間で浸水被害の軽減を図るため、橋梁架替を含めた河川改修を実施するもの。計画流量毎秒620立方mの洪水を安全に流下させて、概ね30年に1度の割合で発生する洪水に対応できるようにする。
工事の内容は、掘削約3万6000立方m、築堤約2万1000立方m、護岸約7200平方mで、このほかJR橋梁1橋を架け替える。事業期間は24年度から32年度までの9カ年で、測量設計を24年度、用地補償を24-25年度に実施し、JR橋梁架替を26年度から30年度まで、河道掘削や護岸工事などを31-32年度で実施する。総事業費は測量設計費が約1億円、用地補償費が約1億円、工事費が約73億円の、合計約75億円を見込む。工事費のうち、JR橋梁架替には約65億円、河道掘削などには約8億円を配分する。
一級河川武子川の深津工区は、川幅が狭く浸水被害がたびたび発生したため、鹿沼市深津地先から千渡地先まで延長4300mの河川改修事業に15年度から着手した。21年度までに、下流側の市道若林橋から県道武子川橋までの延長700mが完成。22年度にはJR日光線橋梁の詳細設計を実施し、本年度はJRと工事の基本協定を締結して、24年度から橋梁架替に着工する予定となっている。
今回の事業計画変更では、全体事業費が前回計画(14年度)の46億円から80.3億円に、34.3億円増額する。増額分は全て工事費で、37億円の計画から71.3億円に増加。内訳は、JR軌道高調節工事の増額が8.7億円、地盤改良工事などの増額が11億円、物価高騰による増額が14.6億円となる。
JR軌道高調節工事は詳細設計の結果、法令に基づく技術基準により、現武子川橋梁部の架設橋梁設置を含む180m区間で現軌道高を上げる必要が生じたため実施する。地盤改良工事は、新武子川橋台施工時の土留め工の設置に地山流出防止が必要となり液薬注入工を増工したほか、桁製作ヤードの支持力確保のため基礎地盤にプレボーリング工を増工したことなどによるものとなる。
このほか報告案件は、県土整備部が街路事業で都計道3・4・306号中郷八木岡線の真岡市荒町工区と3・5・2号山手通りの那須烏山市屋敷工区、河川事業で一級河川菊沢川の佐野市船津川町地先から田島町地先まで、一級河川旗川の足利市寺岡町地先から佐野市並木町地先まで、および一級河川名草川の足利市利保町地先から菅田町地先までを報告。
また農政部は、水利施設整備事業で県営水利施設整備事業の生井地区(小山市、野木町)と、農地整備事業で県営農地整備事業の倉骨地区(大田原市)および県営農地整備事業の百頭・県地区(足利市)に来年度から着手すると報告した。