来年度に事業者公募 新清掃施設 地域還元施設は廃止検討(笠間市)
[2023/11/23 茨城版]
笠間市は16日、友部公民館で新清掃施設整備計画について、市民説明会を開催した。それによると、施設は焼却施設とマテリアルリサイクル施設に加えて、バイオガス発電設備を整備する案を検討。事業者の公募は24年度にも行う予定だ。25-27年度の3カ年で設計・建設を行い、28年度の供用開始を目指している。また、隣接する地域還元施設「ゆかいふれあいセンター」に関しては、廃止する方向で検討を進めている。
長兎路仁古田入会地地内に立地する市の環境センターは、友部地区と岩間地区、水戸市の内原地区を対象としたごみ処理場として、92年に稼働開始。その後20年に内原地区が脱退したものの、22年度に笠間地区が加入し、現在は笠間市全域を対象としている。しかし、稼働開始から31年が経過し、施設や設備の老朽化が進み、年間1億円を超える修繕費などが課題となっている。
そこで市は、新たな清掃施設の整備を決定。建設地は現在の施設の東側にあるグラウンドを選定した。22年度からは基本計画とPFI等導入可能性調査業務を環境技術研究所(大阪府大阪市)に委託し、処理方式や事業方式の検討を進めている。
新施設は、▽焼却施設とマテリアルリサイクル施設▽焼却施設とバイオガス発電施設、マテリアルリサイクル施設──の2つの整備案で比較検討中。想定する規模は、焼却単独の場合は焼却施設が80t/日、バイオガス発電施設を整備する場合は焼却施設が65t/日、バイオガス発電施設が35t/日となる。マテリアルリサイクル施設は、両案ともに18t/5時間を見込んでいる。エネルギー利用に関しては、どちらも蒸気タービンによる発電や清掃施設内への給湯・暖房への利用が可能。加えてバイオガス発電施設ではガスタービンによる発電も行い、発電量によっては売電も視野に入れるという。
現段階では、▽今後プラスチック類の資源化により、生ごみなど水分の多いごみの割合が増え、焼却による発電効率は低くなる▽バイオガス発電施設は、ごみの量や質に影響されず、安定した発電が可能▽バイオマス由来のメタン発酵バイオガスの売電価格は廃棄物由来のものより高く、安定した収益を見込める▽バイオマス発電施設を整備することで、国からの交付金が増加する──ことなどから、市はバイオガス発電施設を整備する案を優位としている。今後、プラントメーカーへ本事業への参入意思や要望、さらには事業費などを調査するアンケートを実施し、正式な整備方法や規模を決定する。その後、施設整備に必要な発注図書の作成や、設計・建設を行う事業者の選定を含めたアドバイザリー業務を発注する計画だ。事業費には3370万円を確保している。事業者の公募は早ければ24年度にも開始する。
また市は本年度、環境センターに隣接する地域還元施設「ゆかいふれあいセンター」のあり方についても検討を進めている。ふれあいセンターは、環境センターの余熱による温水を利用した25mプール(7コース)や子ども用プール、浴室のほか、マシンジムやスタジオ、パターゴルフ場が設置された健康増進施設。しかし、利用者の減少や固定化、施設の老朽化が課題となる。市によると、施設は年間の修繕費が400~1000万円ほどかかり、大規模修繕工事を行う場合には6億円以上の事業費を要すると見込んでいる。また、水戸市との協定により、25年度以降は約7000万円の運営費を単独で負担することとなる。
これらを受け、市はふれあいセンターを廃止し、代替施設として新たな清掃施設内に多目的室兼ジムやヨガなどのスタジオ、シャワー室などを整備する方向で検討を進めている。具体的な方向性は年度内にも決定する予定だ。