[2023/11/11　宮城版]

　国土交通省や東北6県、北海道らは9日、東北地方整備局で本年度下期の「北海道・東北ブロック監理課長等会議」を開催した。主に入札契約の担当課長らが出席し、公共工事の品質確保と建設業の担い手育成・確保に向けて協議した。2024年度から原則全ての工事で週休2日工事を達成できるように環境整備することなどを申し合わせた。

　会合には国土交通本省や東北地方整備局、東北6県、北海道、仙台市、札幌市から28人が参加した。工事品質と担い手の確保に向け、公共工事の円滑な施工確保対策や、技能労働者の処遇改善などについて非公開で話し合った。

　あいさつで東北地方整備局建政部の金森貞義建設産業調整官は、社会経済の根幹を支える産業で、地域の守り手でもある建設業が引き続き重責を果たすために、来年4月から適用される罰則付き時間外労働の上限規制への対応や、将来の担い手確保といった喫緊の課題を抱える中、「働き方改革や処遇改善につながる取り組みを関係者一丸となってさらに押し進める必要がある」と力を込めた。

　さらに、建設技能者の処遇改善を図るために建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及や活用促進が必要と指摘。CCUSへの「技能者の登録数が6月末時点で約128万人を超えるまでに達した」と伝え、CCUSのさらなる定着に向けて協力を求めた。

　国土交通省不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の大湯裕稀課長補佐は「入札制度を変えることで建設業の健全な発達につなげていくという観点から、入札契約担当課長が集まる本日の会議は重要な会議と位置付けている」と述べた。

　会合では担い手の確保に向け、週休2日の取り組みに関する議論に多くの時間を割いた。週休2日の達成率を全都道府県で見ると、2022年度は75％以上が7団体、30％以上75％未満が27団体、30％未満は13団体となっている。75％以上の7団体のうち、2団体は秋田県と北海道。東北のそれ以外の県は75％以上を達成しておらず、30％未満の県もある。

　達成率が高い7団体は発注者指定型の週休2日工事を採用している割合も高く、達成率が低くなるにつれて発注者指定型が少ない傾向にある。このため、皆で発注者指定型を積極的に導入していくことにした。

　さらに、週休2日の対象工事を金額や工期で限定する要領を定めたり、維持工事や社会的要請(早期完成を望む地域住民の要請など)が大きい工事を除外したりすることが、結果的に達成率を下げている傾向にあるため、週休2日交替制の導入や関係者との密な調整によって改善していくことにした。

　会議ではこうした議論を経て、法定労働時間や休日を考慮した適正な工期の確保と、週休2日工事の確実な実施に取り組むことを確認。24年度から原則全ての工事で週休2日を達成できるように環境を整備することや、国・都道府県が連携して市区町村における週休2日工事の対象拡大に向けて積極的に働きかけることなどを申し合わせた。

　民間工事については公共工事の週休2日を定着させることで波及効果を狙うほか、週休2日等を考慮していない短い工期に関して国交省や県が民間発注者に勧告できることから、勧告する前に発注部局と許可権者部局が連携して働きかけを行っていくことにした。

　技能労働者の処遇改善では、技能労働者への適切な賃金の行き渡りに向けて、入札契約適正化法に基づく入札金額の内訳書の確認や、法定福利費の適切な支払いの確保を図るため、その内訳を明示した請負代金内訳書の確認といった取り組みを一層強化することにした。

　併せて、国・都道府県・市区町村が緊密に連携してダンピング対策を徹底することも申し合わせた。

　公共工事の円滑な施工確保対策では▽資材等価格高騰や納期遅れへの対応を含む適切な設計変更・契約変更▽施工時期等の平準化▽不調・不落対策▽情報通信技術の活用──を推進する。

　このうち、平準化は取り組みが進んでいない市区町村に対し、国・都道府県が連携して優良事例の周知や積極的な働きかけ・助言に努める。

　不調・不落対策は、発注予定の確実な公表に努めつつ、適正な予定価格の設定や平準化の推進を含む対策に取り組む。

　情報通信技術の活用は、三次元データの活用や工事書類の簡素化などの推進に努めることを申し合わせた。大湯課長補佐は情報共有システム(ASP)を使っている県が思った以上に多くいると会合で分かったため、「今後はASPなどの電子化を使ってうまく(書類の)簡素化を進める必要がある」と話した。