大堤地区の用地開発 観光・文化分野で地域経済を牽引(古河市)
[2023/11/10 茨城版]
古河市は、地域未来投資促進法を活用して大堤地区の未来産業用地開発事業を実施する。6月には経済産業省に「茨城県古河市基本計画」を提出し、9月に同意を得た。基本計画では大堤地区約82・6haを重点促進区域とし、このうち、約17haについては、土地利用調整区域に設定した。同地の活用としては、製造業を活かした観光やスポーツ、文化などの分野を想定。今後は公募を行い、28年度末までに民間開発事業者を決定する。その後、開発や農地転用の許可、用地売買の手続き、造成工事、施設の建築工事を行い、事業を開始する見通しだ。
この事業は、市の地域特性である豊富な観光資源や優れた交通インフラ、主要産業である製造業などを活かして、高い付加価値の事業を創出し、地域経済の好循環をもたらすもの。対象となるのは、JR宇都宮線古河駅から約1kmに位置する約82・6haの大堤、上辺見、下辺見、南町地内となる。このうち、約27haが農用地区域の農地で、残りは市街化調整区域(既存市街化区域に隣接)。西側に国道4号が通り、南側は国道354号の沿線となる。
なお、先行して土地利用調整区域の約17haを開発する考えもあり、市が建設を予定している新公会堂(仮称)の候補地のひとつになっている。
基本計画によると、経済効果の目標としては、1件あたり平均約6300万円の付加価値額となる地域経済牽引事業を5件程度を生み出し、これらの地域経済牽引事業が促進区域で1・26倍の波及効果を与え、3億9700万円の付加価値を創出することを目指す。
地域経済牽引事業の承認要件としては、要件1が地域の特性を活用すること(豊富な観光資源や優れた交通インフラ、主要産業である製造業などを活かした観光・スポーツ・文化・まちづくり分野)、要件2が高い付加価値を創出すること(付加価値増加分は5917万円超)、要件3がいずれかの経済的効果が見込まれること(取引額10%増加、雇用者数3%または2人増加、売上げ10%増加)とする。
制度・事業環境の整備としては、▽企業立地促進奨励金制度、先端設備導入に対する支援、固定資産税の減免に関する条件の制定▽事業者からの事業環境整備の提案への対応▽グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションの促進支援──とする。
今後は28年度末までに、民間開発事業者を決定するほか、地域経済牽引事業計画(民間事業者作成)、土地利用調整計画(市作成)を県に提出し、計画の承認・同意を得ることができるように事業を進めていく。そのあと、開発や農地転用の許可、用地売買の手続き、造成工事、施設の建築工事を行い、創業を開始する見通しだ。
市では現在、民間提案制度で「大堤エリアにおける新たな賑わい創出提案」を募集している。対象となる提案事業は、民間事業者または民間事業者が市と連携を行うことで実施可能なもので、地域課題および行政課題の解決に関わるものとする。
市が求める提案例は、▽主要産業である製造(主に食品)を活かした体験型観光施設やオープンファクトリーの拠点となる産業交流施設▽映画館などのエンタメ施設を含む大型商業施設▽防災と公園の機能を有し景観にも配慮した調整池を含む親水公園──など。提案の募集期間は12月18日までとする。この提案を踏まえて事業化に向けた対話を行い、公募型プロポーザル方式で事業者の選定を行う予定だ。
市では少子高齢化が進むなか、人口減少局面に入っている。このため、市内外から人が集まる環境づくりと市の魅力向上を目指して、交通インフラが充実した大堤地区を文化・産業・商業の交流機能を備えた新たなまちづくりの拠点として整備することにした。22-23年度には同事業を活用して、東山田・谷貝地区の産業用地の開発を行った。