県境のトンネル化要望 黒磯田島線 防災工事で1カ所設計(整備促進同盟会)
[2023/11/9 栃木版]
県道黒磯田島線整備促進期成同盟会(会長:渡辺美知太郎那須塩原市長)は、県庁で黒磯田島線の整備促進に関する要望活動を行い、本県と福島県境のトンネル化の早期実現や、現道および通行止め区間の道路整備促進を求めた。対応した県土整備部の坂井康一部長は、現道区間には要対策箇所が4カ所あり、このうち1カ所で本年度に設計を策定するなど対策に乗り出していると説明。通行止め区間については、急峻な地形や地質の状況など技術的な課題もあり、早期の事業化は難しいと理解を求めた。
県道黒磯田島線は、那須塩原市を起点に福島県南会津町に至る、栃木県北部地域と福島線南会津地方を結ぶ最短ルートで、両地域の産業・経済・歴史的文化交流として重要な道路となっている。しかしながら、急峻な山岳地帯は冬期間の積雪による道路の崩壊で現在は通行止めとなっており、両地域の観光資源や新幹線利用のアクセスには国道121号や国道400号を利用するしかなく、これらの路線は観光シーズンに激しい渋滞が発生している。
こうしたことから同盟会は、この区間にトンネルが整備されることで両地域の生活環境が向上するほか、広域的な幹線道路として沿線市町村の産業経済発展に大きく寄与するとして、通年で安全に通行できるトンネル化の早期整備に特段の配慮を要望している。
今回要望したのは▽栃木県・福島県境の早期トンネル化の実現(延長2900m、幅員6.0m、うち栃木県側延長1100m、幅員6.0m)▽現道および通行止め区間の道路整備(延長7200m、幅員6.0m)-の2点。整備要望区間は、深山湖北部ゲートから福島県道高陦田島線交点までの総延長33.2kmとなっているが、急峻で狭あいな難所の線形を変えトンネル化で整備することで、これを20.2kmにまで短縮できるとしている。
これに対し、坂井部長は「現道整備の要望区間7.2km区間のうち、深山湖付近の約2km区間は現在、冬季通行止めという形で冬季以外は通行できるよう対応しているが、非常に危ない箇所もある。深山湖より南の区間も含めて調査したところ、13カ所で要対策箇所があり、防災工事などの対策に着手している」と説明。「要望された7.2km区間にも要対策箇所が4カ所あり、このうち1カ所では本年度に設計を始めていきたい」と説明した。
続けて「それ以外の箇所は、通年通行止めとなっている。こちらは急峻な山岳地帯ということから、整備にあたっては急峻な地形の状況や地質の状況など技術的な課題をはじめ、交通需要や整備効果など多くの課題もあり、なかなか早期の事業化は難しいのが現状。引き続き福島県とも意見交換しながら、整備の在り方を考えていきたい」と話して理解を求めた。
要望活動には、副会長を務める南会津町の渡部正義町長も出席し、「南会津町の南部の人は、買い物や医療で那須塩原市に出向いており、この道路ができれば一層の利便性向上につながる。南会津町は古くから、北関東との経済交流に経済発展の方向性を見ている、福島県内でも珍しい地域。我々も整備効果を具体的にPRしながら、福島・栃木両県に訴えていきたい」と改めて整備促進を要望した。