農業基盤整備に支援を 県に要望書 ICT導入や水利施設防災(栃木県農業会議)
[2023/10/20 栃木版]
県農業会議(國井正幸会長)は18日、宇都宮市内のホテルで2024年度農地等利用最適化推進に関する意見及び年度県農業等施策並びに予算に関する要請会を開催し、國井会長から福田富一県知事に要望書を手渡した。福田知事は内容を検討した上で、要望を国に伝えるほか、県の来年度予算に反映させるよう検討し、農業施策に取り組むと答えた。建設関連では、圃場整備、農業基盤整備、土地改良事業への補助や支援などのほか▽太陽光発電施設への対策▽イチゴ栽培などで施設・設備導入への支援▽ICT等の先端技術導入への支援▽農業水利施設等への防災・減災対策▽家畜糞尿対策や米生産対策での施設整備-などの項目を要望した。
県農業会議は、優良農地の確保と農地の適正・有効活用として、営農型太陽光発電事業について不適切利用排除と未然防止の観点から、発電施設設置にあたっては収支計画や実績報告書等の提出を義務付けるとともに、地域での話し合いや合意形成、市町村の関与を条件とするよう国に働きかけることを求めた。
また、農地の集積・集約化による大規模や高生産性農業を目指す地域など、地域区分を明確化して地域の実情に即した地域政策の実施、鳥獣被害の市町を超えた広域対応や予算確保、農業委員会の地域計画策定への支援なども求めている。
農協農政対策県本部では、生産資材高騰対策で農産物の共同配送拠点の整備などを促進させる支援策、担い手育成支援策で集落営農組織の設備導入などへの支援、米生産対策で共同乾燥施設の設置・再編やもみ殻処理施設の新設などへの支援を要望。園芸生産振興対策では▽イチゴ栽培等での増収技術施設・設備(クラウン冷却機器、炭酸ガス施用装置、ICT技術など)への助成措置▽イチゴの健全苗供給に向けた、炭酸ガスダニ防除システムや育苗ハウスの機能向上などへの助成の継続・拡充▽加工施設を有する企業誘致-などを要望した。
土地改良事業団体連合会では基盤整備推進のほか、ため池を含む農業水利施設について長寿命化、豪雨・耐震対策、洪水被害防止対策、国土強靭化に向けた計画的な保全管理などへの予算確保を要望した。
県畜産協会や県酪農協会は、糞尿処理施設・機械の機能高度化や再整備への支援策などを要望。県農業者懇談会は、小区画圃場の再整備や未整備地区解消等を含めた圃場整備計画の立案、品目ごとの生産団地化の支援施策の創設などを求めた。
河宇農業振興協議会は▽水田の大区画化・汎用化および小規模な基盤整備推進のための、業者負担の軽減支援▽ICTを活用した有害鳥獣対策への支援▽有害鳥獣の被害防止対策(やぶの刈払いなど)-などを訴えた。
上都賀地方農業振興協議会は▽圃場整備事業の支援強化▽小規模区画を有した地域に対して、圃場面積要件緩和の検討▽有害鳥獣の広域的な対策や、林政関係機関との連携強化-などを要望した。芳賀農業振興協議会は、太陽光発電施設について▽収支計画書と実績報告書の提出の法令での義務付け▽事業者への管理規制など、更なる指導の徹底▽営農型太陽光発電について、規制のための農地転用許可基準の改正と具体的な運用基準の提示、許可基準の見直し-などを求めた。
下都賀地方農業振興協議会は▽野生鳥獣対策の河川区域の雑木や竹林の伐採除去後について、維持管理のしやすさを重視した整地の実施▽圃場の大区画化、用排水路や農道の整備支援、農地の空木(境界木)に代わる地中マーカー(埋設杭)の活用支援の検討-などを訴えた。
塩谷地方農業振興協議会は▽遊休農地解消への事業の拡充や施策の創設▽自然災害を未然に防ぐ取り組みや、被災時の支援の充実▽水利施設等の計画的な機能保全対策、防災重点ため池の点検整備などの防災・減災対策や、被災時の早期復旧への支援の充実-などを要望した。
那須地方農業振興協議会は▽畜産堆肥を利用した資源循環型有機肥料生産工場等の建設▽条件不利農地で受益戸数が少人数でも、簡易な区画整理や農道整備が行えるよう、独自の補助制度の創設▽鳥獣被害防止対策で、ICT技術促進や導入への支援、施策検証や見直しの実施▽草地畜産基盤整備事業や畜産クラスター事業の推進と予算確保▽農業基盤整備事業について、中山間区域の拡大および条件緩和-などを求めた。
南那須地方農業振興協議会は▽鳥獣害対策で、電気柵等設置の補助金等の支援▽太陽光発電施設設置から20年後に放置されることがないよう、施設の更新および撤去に対しての指導の徹底-などを要望した。
安足地方農業振興協議会は▽中山間地域において、施設整備など特認地域の特性を生かした新たな補助制度の創設▽百頭・県地区の圃場整備事業の推進▽圃場整備事業と別枠で、ハウスの移転費用への補助制度創設-などを要望している。