内川で堆積土除去着手 緊急防災・減災事業 31カ所に9億円追加(県河川課)
[2023/10/18 栃木版]
県河川課は、9月補正予算案が県議会の9月通常会議で原案可決されたのを受けて、追加分の主要事業をまとめた。緊急防災・減災対策事業費に9億円が追加され、このうち同課分として約7億5000万円を配分して、21カ所の堆積土除去や調節池設置、堤防強化を実施する。今回の補正では、維持管理上必要ながらこれまでできなかった堆積土除去に予算を追加して、比較的上流域で事業を実施する。また今回の補正で新たに、矢板土木管内の内川でも堆積土除去にも着手する。
同課では、令和元年東日本台風の被災箇所やその周辺、氾濫で人家への影響が生じる箇所、橋梁部や水衝部など氾濫の危険性が高い箇所で、堆積土の除去を地域の要望も踏まえながら順次実施している。
緊急防災・減災対策事業の堆積土除去は、本年度の当初予算で鹿沼市の黒川や足利市の姥川を含めた約40カ所を前倒し、合計約70カ所で実施していく予定としており、今回の補正でも河川12カ所のほか、より上流の砂防指定地でも10カ所で事業を実施する。
代表箇所を見ると、矢板土木は新たに矢板市川崎反町地内で内川の堆積土除去に着手する。河道内の堆積土で流下能力が不足しており、豪雨時に溢水の危険性が大きいことから、氾濫で人家への影響が生じる箇所や橋梁部、水衝部など氾濫の危険性が高い箇所の堆積土を除去する。
同様に、芳賀町芳志戸の五行川は氾濫で人家への影響が生じる箇所や橋梁部、水衝部など氾濫の危険性が高い箇所で、栃木市嘉右衛門町の巴波川は決壊・越水・溢水箇所およびその周辺などで、足利市月谷町ほかの袋川では河川の断面が小さく氾濫の危険性が高い箇所などで、引き続き堆積土除去を実施する。
このほか、堤防強化は従来からの継続で8カ所に、調節池設置は同じく1箇所に補正予算を配分する。代表箇所は、宇都宮市岩曽町の山田川が人家や重要施設など甚大な被害が想定される橋梁など構造物の周辺および水衝部で、那珂川町大山田下郷の武茂川でも構造物の周辺および水衝部で、それぞれ長時間の洪水に耐える堤防の強化を図る。鹿沼市下武子町の西武子川は、決壊・越水・溢水が生じた河川の流域治水対策として調節池を設置する。
緊急防災・減災対策事業は、東日本大震災の教訓を踏まえて災害に強い県土づくりのため2012年当初予算で創設した。その後、関東・東北豪雨発生後の点検で要対策箇所を追加するとともに、道路事業は県単土木で一体的に対応することとし、河川砂防事業に特化した。
東日本台風では、被災状況を踏まえて堆積土除去、堤防強化、調節池、急傾斜地などの整備を15年間300億円(堆積土除去等150億円、堤防強化150億円)で対応することとし、特に堤防強化(600カ所・90億円)については「堤防強化緊急対策プロジェクト事業費」として他の事業に移行している。
補正で追加された緊急防災・減災対策事業の代表箇所は次の通り。(▽河川名(市町名)=事業内容)
〈宇都宮土木〉
▽山田川(宇都宮市岩曽町)=堤防強化
〈鹿沼土木〉
▽西武子川(鹿沼市下武子町)=調節池設置
〈日光土木〉
▽小原沢(日光市星ヶ丘)=堆積土除去
〈真岡土木〉
▽五行川(芳賀町芳志戸)=堆積土除去
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市嘉右衛門町)=堆積土除去
〈矢板土木〉
▽内川(矢板市川崎反町)=堆積土除去
〈大田原土木〉
▽唐滝沢(那須塩原市宇津野)=堆積土除去
〈烏山土木〉
▽武茂川(那珂川町大山田下郷)=堤防強化
〈安足土木〉
▽太田沢(佐野氏水城町)=堆積土除去
▽袋川(足利市月谷町ほか)=堆積土除去