年内にも工事公告 新最終処分場 新設道路では用地取得(県環境保全事業団)

[2023/10/11 茨城版]
 県環境保全事業団では、新産業廃棄物最終処分場の整備を進めている。現在は実施設計をまとめるとともに、年内の入札公告に向けて準備をしている状況にあるという。また、県が整備を担当する最終処分場周辺の道路整備については、詳細設計が概ねまとまっており、順次、用地交渉を進めている。最終処分場と新設道路はいずれも、26年度末の供用開始を目指していく。9月に開催した県議会の防災環境産業委員会で県が明らかにした。

 この事業は県関与産業廃棄物最終処分場エコフロンティアかさまの継続施設として、新たな産業廃棄物最終処分場を日立市諏訪町地内の日立セメント太平田鉱山跡地に整備するもの。概算建設コストは約230億円に設定。基本設計までは県資源循環推進課が担当し、実施設計からは県環境保全事業団が担当することになっている。なお、実施設計は八千代エンジニヤリング(東京都台東区)が担当する。

 新最終処分場の概要をみると、埋立地の規模は約9.3ha、容量は約240万立方mとし、オープン型処理場で整備する。施設の受入計画量は年間15.2万t、埋立計画量は年間約10万立方mに設定し、埋立期間は20年から23年間程度を予定。敷地内には埋立地に加えて、浸出水処理施設や防災調整池、管理施設などを配置する。

 このうち、埋立地の構造は準好気性埋立構造、方式は即日覆土によるセル方式を採用。浸出水発生量抑制のため、埋立地を南北2区画に分け、下流側(北側)から埋立を開始していく。

 遮水工では、基準省令に基づく二重の遮水シートに加え、ベントナイト砕石や水密性アスファルトコンクリート、ベントナイト複合遮水ライナーによる多重の遮水構造を取り入れた。さらに、バックアップ機能として、漏水検知システムを設置する。

 浸出処理施設の処理能力は1日あたり400立方m、調整槽容量は2万8000立方m程度とする。浄化処理後は下水道へ放流することになる。防災調整池の容量は3万5000立方m程度を予定している。

 管理施設としては、▽計量施設▽展開検査場▽管理棟▽地下水モニタリング設備▽場内道路▽洗車設備▽待機所▽門・囲障設備──を配置する。

 併設施設では、環境学習施設を整備。この施設では、資源循環に関する学習や日立市と連携した体験学習や環境学習ができる施設を目指す。学習施設の整備についても本年度から県環境保全事業団が担当しており、年度内にも基本設計に着手する予定だという。

 整備の進捗は、実施設計を実施している段階にあり、あわせて年内の入札公告に向けて準備を進めている。また、本年度末には円滑に処分場整備に着工できるよう、計画地内での準備作業を実施する計画となっている。

 最終処分場の整備と並行して進めている周辺道路の新設については、詳細設計が概ねまとまり、用地交渉を進めている段階にある。順調に行けば、24年度から着工する見通しとなる。

 新設道路は、山側道路(中丸団地東側)から市道と林道を経て最終処分場に至るルート。延長は約4km、幅員は一般部が9m、トンネル部が7mで計画。主な施設は橋梁2カ所、トンネル2カ所(延長95mと延長950m)となる。概算事業費は約120億円と試算した。なお、工事はトンネル部を県道路建設課、トンネル以外の部分を県高萩工事事務所が担当する。

 新設道路の整備に加えて、県では日立常陸太田線の片側歩道整備(上諏訪橋付近~処分場)や局部改良(大平田集会所付近~処分場)、油縄子交差点の整備も実施する。現在は詳細設計を進めている段階にあり、今後は用地取得を予定する。

 今後のスケジュールは、最終処分場では、本年度内に実施設計をまとめるとともに、本体工事に着手する。工事は4カ年で実施し、26年度末の供用開始を目指す。一方、新設道路については、本年度内に用地を取得し、24年度から3カ年で工事を行い、同じく26年度末の供用開始を目指すことになる。

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