概算費に約210億円 常陸那珂港区 中央ふ頭の岸壁を延長(県地方港湾審議会)

[2023/10/5 茨城版]
 県地方港湾審議会(会長・大脇崇日本港湾協会理事長)は9月28日、県庁で本年度の審議会を開催した。議事では、茨城港常陸那珂港区の港湾計画の一部変更について審議を行った。この議事は、常陸那珂港区で建設機械の輸出量が増加傾向にあることを受けて、中央ふ頭E岸壁にRORO船の接岸が可能となるよう、岸壁の延長と水深などの整備を行うために港湾計画の一部変更を審議するもの。なお、今回の整備の概算事業費は約210億円と試算した。審議の結果、同案を「原案通り適当」とし、計画の変更を承認した。今後は知事に答申した後、国土交通大臣へ計画書を提出し、10月の国土交通省交通政策審議会港湾分科会を経て、計画概要を告示する予定だ。

 あいさつに立った県土木部の田村央部長は本県の港湾について、常磐道と北関東道、東関東道、圏央道に接続していることで、これまで一極に集中していた物流の流れを大きく変えることが期待されることを指摘。また、陸上輸送から海上輸送へシフトすることで、物流業界の2024年問題への解決につながるなど、その重要性が高まっていることに期待を寄せた。続けて、審議内容を説明し、委員らに慎重な審議を求めた。

 計画変更の対象となるのは、茨城港常陸那珂港区の中央ふ頭地区となる。常陸那珂港区には建設機械の組立工場が立地しているが、北米をはじめとする諸外国での鉱山利用の需要の高まりを受け、輸出量が年々増加傾向にある。その結果、22年度には輸出量の過去最高を記録した。これに伴い、RORO船の入港への待ち時間が長くなっており、22年のピーク時には延べ324時間にも及んだという。また、輸出には大型の船舶が使用されており、荷捌き場の整備が求められている。

 これに対応するため、県では公共ふ頭計画や水資金施設計画、土地利用計画の変更に着手。その際には、整備方針として3つの案を提案し、妥当性があるかどうか比較検討を行った。その結果、建設機械をRORO船で運ぶためのターミナルを中央ふ頭に新たに整備する案を採用。なお、概算事業費は約210億円と試算している。

 具体的な変更内容をみると、公共ふ頭計画では、C-E岸壁の水深15m、延長300m、貨物船用を水深14m、延長330m、RORO船用に変更する。あわせて、国際的に重要な貨物を扱うため、大規模地震対策の整備も計画しているという。水域施設計画では、航路・泊地の水深15m、泊地の水深15mをそれぞれ水深14mに変更する。

 このほか、臨港道路3号線の配置を見直し、港湾関連用地と工業用地の土地利用計画を変更する。具体的には、土地利用の変更として、ふ頭用地を9haから10.3ha、工業用地を6.2haから0ha、港湾関連用地を62.7haから68.2ha、交通機能用地を19.7haから19.1haへの変更を行う。

 委員からは、防災の観点から津波避難タワーをはじめとする安全確保の対応や、船の安全確認、対北米輸出のアドバンテージを活かした今後の整備構想など、多岐に渡る質問が出た。

 今回の議案は、「原案通り適当」として知事に答申することを決定。県は答申を受けて、国土交通大臣へ計画書を提出し、10月の国土交通省交通政策審議会港湾分科会を経て、計画概要を告示する予定となっている。

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