日立市内で災害調査 年内の災害査定申請を目指す(国土交通省)
[2023/9/29 茨城版]
国土交通省は26日、日立市内で災害緊急調査を実施した。調査には同省水管理・国土保全局防災課の三浦剛志災害査定官が派遣された。三浦氏は台風13号による大雨で被災した道路や河川などで調査と助言を行った。県では今回の国からの助言を踏まえ、本格復旧に向けて取り組む考え。順調に行けば、年内にも国に災害査定を申請する予定となっている。
災害緊急調査は、広域にわたる災害や人的被害が発生しているなどの特別な災害において、国交省から派遣された災害査定官が現地における災害時の気象や水理、被害状況を迅速かつ的確に把握するとともに、被災した公共土木に対する応急措置と復旧方針樹立の指導を行うものとなる。
当日は日立市内で被災箇所の調査を行った。対象となったのは、池の川処理場の機械設備が水没した現場と、日立山方線の土砂崩れ2カ所、小石川の護岸崩れ1カ所、十王ダムの斜面崩落1カ所となる。
このうち、日立宮田町地内の日立山方線では、土砂崩れの現場を視察。同線の被害状況をみると、豪雨により源頭部の斜面が崩壊し、その崩土が渓流を流下し、土石流が発生。その結果、道路の陥没や積ブロックの破損(山側、L約32m、H1.7~2.5m)、ガードレールの破損(L約40m)などの被害を受けた。同線は8日から全面通行止めとなっていたが、県土木部や県建設業協会らの尽力の結果、応急の安全対策工事が完了し、23日に通行止めを解除。現在は、一部の区間で片側交互通行や、降雨による事前通行規制を設定している状況にある。
今回の調査について三浦災害査定官は、「現地で被災の状況を確認して、改めて大きな災害だったということを認識した。被災の原因にはさまざまな要素が存在しており、その原因を究明するための調査が必要になる。今回は県に対して、災害の原因を除去できる方法を検討する必要があることを助言した。国としても、1日も早く元の暮らしができるよう、県や地元の自治体と協力しながら、復旧に向けて支援する体制を整えていきたい」と述べた。
県では今回の助言を踏まえて、被災した公共土木施設の復旧に取り組んでいく。具体的には、年内にも国に災害査定を申請する見通しだという。
なお、日立山方線の本格復旧については今後、調査を進めながら対策法を検討していくことになる。県の担当者によると、同線の施設被害は積みブロックの崩壊やガードレールの破損など、現況復旧自体の規模はそこまで大きいものにはならないという。ただし、土砂崩れを防止するためには、現況復旧のみでなく、改良復旧が求められる。そこで、今後は具体的な工法など、各種の検討を進めていくという。
台風13号による公共土木施設関係の被害状況は、県災害対策本部によると27日17時現在で、被害額は合計約50億3000万円と推計した。内訳は県管理分が約21億5000万円(うち、道路11億円、河川10億5000万円)、市町村分が約28億8000万円となる。
道路については、塙大津港線(北茨城市関本町才丸~関本町富士ケ丘、路面陥没)と山根大津港線(北茨城市華川町下小津田~北茨城市関南町神岡下、法面崩壊)が全面通行止め、日立山方線(日立市宮田町、倒木・土砂崩れ)と十王里美線(日立市十王町高原、土砂崩れ)が片側交互通行となる。なお、塙大津港線と山根大津港線の2路線では現在、復旧に向けて作業を進めている段階にあり、なるべく早期の供用を目指して取り組んでいるという。