激甚災害への指定を 県北3市が大雨被害で県に要望
[2023/9/20 茨城版]
日立市と高萩市、北茨城市は15日、県庁を訪れて大井川和彦知事に対し、23年9月豪雨災害に係る激甚災害指定に関する要望書を手渡した。要望活動には小川春樹日立市長や大部勝規高萩市長、豊田稔北茨城市長をはじめ、3市の関係者が参加。それぞれ、災害復旧を円滑かつ迅速に行うため、今回の災害が激甚災害に指定されるよう、大井川知事に力添えを求めた。
要望書によると、3市は各地で多くの道路や河川などの公共土木施設、農地や農道などの農業用施設が被害を受け、住民生活や経済活動に影響を及ぼしたと説明。そこで、早期の復旧が必要不可欠であり、復旧を円滑かつ迅速に行うには、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づき、一連の災害が激甚災害に指定されるよう、大井川知事に力添えを強く要望した。
要望活動は、先週の大雨から1週間が経過したことを踏まえ、3市長間で連絡をとった結果、急遽、15日に県への要望活動を実施することになった。なお、3市の要望に対して、大井川知事からは「県としても激甚災害の指定に向けて取り組む」といった前向きな回答が得られたという。
今回の要望について、小川市長は庁舎の被害に加えて、市内各地で河川の越水や道路の冠水、山間部での土砂災害や法面崩壊など、市内全域に渡って約1300件の被害がでたことを説明したうえで、「今回の災害によって、3市は災害救助法の適用となったが、激甚災害の指定となれば、通常よりも補助の範囲が拡大する。市としては、県や国からの支援のもと、早期の復旧にあたっていきたい」と話した。
大部市長は市内各地で河川の越水によって浸水した住宅があることを指摘し、「市が管理する河川については、すでに対応を進めているが、市単独で事業に当たるのは困難な状況にある。激甚災害の指定となれば、これまで懸案事項であった箇所の整備が可能となる。今後は災害を未然に防ぐため、市や県が管理する河川でボトルネックとなっているような箇所の拡幅をしなければならないということを強く感じている」と述べた。
豊田市長は「日立市や高萩市と同じく中小河川をきっちりと管理してもらうことが、今後の課題。市民のために努力するのは我々の義務だという思いで要望活動に来た。激甚災害の指定をぜひ国に認めてもらいたい」などと語った。
大井川知事に要望書を手渡した後、3市の首長は、県土木部と県産業戦略部、県農林水産部、防災・危機管理部の各部長と面会。それぞれ各市の現状を説明したうえで、激甚災害指定に関する要望を行った。
3市の被害状況は、県災害対策本部によると18日17時現在で、住宅被害が日立市で床上浸水153件、床下浸水171件、建物一部破損38棟、高萩市で床上浸水162件、床下浸水265件、北茨城市で床上浸水が284件、床下浸水が246件。土砂崩れは日立市が119件、高萩市が9件、北茨城市が159件となる。
農林水産業関係では、排水路の法面崩壊や山林斜面崩壊、水産加工施設での冷蔵庫水没などがあった。中小企業の被害では、被害事業者数が日立市で23件、高萩市で53件、北茨城市で38件となっている。
このほか、道路では、日立市内の日立山方線と十王里美線、北茨城市内の塙大津港線と山根大津港線で全面通行止めが続いている状況にある。
なお、県全域での公共土木施設関係の被害額の合計は約50億3000万円と推計した。内訳は県管理分が約21億5000万円(うち、道路11億円、河川10億5000万円)、市町村分が約28億8000万円となる。