［2023/9/12　茨城版］
　県内では8日の台風13号の影響を受けて、各地で土砂崩れや浸水などの被害が発生した。これを受けて、県内の建設業者らは災害から復旧に向けて昼夜を問わず作業に取り組んでいる。このうち、業界団体の活動としては、県建設業協会(石津健光会長)が道路パトロールや災害復旧、県測量・建設コンサルタント協会(佐藤清一会長)が被災地の調査、県塗装工業組合(佐藤雅彦理事長)が日立市役所敷地内での汚泥洗浄などを実施した。

　水戸気象台によると、8日午前2時から9日午後4時までの降水量は、日立市が282mm、鹿嶋市が281mm、鉾田市が272mm、北茨城市が232mm。なお、日立市では24時間降水量が観測史上最大となった。

　今回の大雨を受けて県では、8日午後10時に県災害対策本部を設置。あわせて、県土木部では、同時期に県土木部災害対策室を立ち上げた。翌9日の午前8時30分には田村央部長から被災状況の情報収集と建設業団体への協力要請の指示があった。これを受けて、各土木・工事事務所らは作業に着手した。

　県によると、被災状況は10日午後5時時点で、河川は氾濫注意水位を超えたのは6河川。このうち、最大の被害が出たのは、計画高水位を越えて越水した関根川となる。

　道路については、29カ所で通行規制を実施した。内訳は全面通行止が28カ所、片側交互通行が1カ所。現時点では7カ所で通行規制を続けている状況にある。対象の路線は全面通行止が日立山方線(日立市宮田町、倒木・土砂崩れ、延長100m)と北茨城大子線(北茨城市中郷町松井～高萩市横川、土砂崩れ、延長6500m)、国道461号(高萩市安良川、土砂崩れ、延長900m)、塙大津港線(北茨城市関本町才丸～関本町冨士ケ丘、路面陥没、延長1万1400m)、山根大津港線(北茨城市華川町下小津田～北茨城市関南町神岡下、法面崩壊、延長4000m)、十王里美線(日立市十王町友部～日立市十王町高原、土砂崩れ、延長7000m)の6カ所。片側交互通行は瓜連馬渡線(ひたちなか市長砂、法面崩壊、延長20m)の1カ所となる。なお、被災箇所によっては、土砂に水分が含まれており、撤去が難しい状況にあるという。

　このほかの被害としては、11日午前9時現在、人的被害が死亡1人、行方不明1人、住家被害で床上浸水が352棟、床下浸水が476棟、非住家被害で床上浸水が10棟、床下浸水が7棟。その他では、土砂崩れが171件となる。

　県が災害支援を要請した業界団体は県建設業協会(石津健光会長)と県測量・建設コンサルタント協会(佐藤清一会長)の2団体。それぞれ、道路パトロールやドローンの撮影などを求めた。

　このうち、茨建協では9日に各支部で一斉にパトロールを実施。その結果、特に被害の大きかった県北地区では、請道修の業者のみで復旧に対応することは難しい状況にあると判断。そこで、県との災害協定に基づき、復旧作業にあたることになった。11日時点では高萩支部と県高萩工事事務所間で打ち合わせを行い、今後の対応を協議しているという。

　茨測協では、被災地の調査を実施。11日時点では、鉾田市とひたちなか市の2市で調査を行ったことが判明している。

　このほか、日立市役所では、市役所の近くを流れる平沢川と数沢川の合流部から水があふれ、庁舎の1階部分までが浸水。地下に設置されている受電設備や非常電源設備も被害を受け、停電となった。これに伴い、本庁舎の新築工事を担当した建設業者らは9日に現地に赴き、ポンプによる排水や、電気設備の復旧に着手。鈴縫工業の担当者は「電気設備の業者らと連携をとりながら、1日でも早い復旧に向けて取り組んでいきたい」と話していた。また、茨塗工では市役所で汚泥洗浄に取り組んでいる。

　出先事務所での対応状況のうち、県常陸大宮土木事務所では、県道瓜連馬渡線で歩道の法面が崩れ、片側相互通行を行っている。11日朝から応急復旧工事に着手している状況で、早期の完了を目指している。

　現場には、水路が布設されているが、豪雨により水路から溢れた水が法面を削り、崩壊に至ったもようだ。応急復旧は、請道修を担当する河野工務店(東海村)により、11日早朝から工事に着手しているが、規模が大きいため災害協定を結ぶ茨建協常陸大宮支部や茨測協にも協力を仰いで実施している。

　県潮来土木事務所では8日夜、水戸神栖線の潮来市島須地内で歩道上に陥没箇所が発見された。そのため、9日には請道修を担当する茂木工務店(潮来市)が応急復旧を実施。法面への大型土のう設置や、歩道を砕石で埋める作業を行った。