矢板那須線の改良推進 事業概要 293号鹿子畑で線形改良(矢板土木)
[2023/9/5 栃木版]
県矢板土木事務所は、2023年度の事業概要と実施個所をまとめた。事業費は国庫・交付金と県単をあわせ、前年度から1.4%減の35億6500万円となる。内訳は、道路事業が28億0200万円(前年度比2.7%減)、河川・砂防・ダム事業が7億6300万円(同3.7%増)。本年度は国道408号宇都宮高根沢バイパスのJR跨線橋の橋りょう製作や主要地方道矢板那須線のバイパス整備を進めるほか、新たに国道293号の鹿子畑の線形改良や県道佐久山喜連川線の下河戸の拡幅、歩道整備に着手する。 =2面に主な整備箇所の概要
道路事業は国庫補助・交付金が19億1600万円(同10.3%減)、県単が8億8600万円(同18.7%増)で、河川・砂防・ダム事業は国庫補助・交付金が1億5600万円(同183.6%増)、県単が6億0700万円(同10.9%減)となる。このほか、22年度補正で12億1000万円を追加した。
主な事業は、高根沢町で国道408号宇都宮高根沢バイパスの整備を進める。このバイパスは地域高規格道路「常総・宇都宮東部連絡道路」の一部を構成し、22年度に県道宇都宮向田線との交差点から県道那須烏山線との交差点までの2.7kmが完成4車線で供用を開始している。現在は、未供用区間の整備や暫定2車線供用区間の4車線化、主要交差点の立体化を進めている。
同バイパスのJR東北本線を跨ぐ跨線橋は、上下分離(上り50.9m、下り51.7m)の単純細幅鋼箱桁とし、下りのメタル鋼橋の製作を第3四半期に一般競争入札で発注するほか、上りの製作も23年度末から24年度初めに発注する。協定に基づき、橋りょう架設および下部工はJR東日本に委託し、県は引き続き地盤改良を進める。
主要地方道矢板那須線の矢板市泉工区は、泉小学校、泉中学校の通学路にもかかわらず歩道が未整備で、矢板バイパスの全線開通により交通量の増加が予想されることから、現道東側に総延長2700mのバイパスを整備する。用地は全て契約済で、本年度は2億2400万円を計上し道路改良工事を進める。23年度末には、60%弱の進捗率を見込む。
都市計画道路3・4・8号片岡西通りは、交通渋滞解消や自転車・歩行者空間の安全で快適な通行空間確保のため、バイパス整備や現道の拡幅を行っている。事業延長1040mのうち、現道拡幅区間約680mは供用済みで、残るバイパス区間360mも用地は取得済み。現在は、バイパス区間のボックスカルバート工を進めている。
県道佐久山喜連川線の早乙女工区は、さくら市が老朽化した桜並木の植え替えを計画。これにあわせ、県は全幅20.5mに拡幅して歩道を整備し、歩行者の安全な通行を確保する。既存の桜を県が伐採し道を拡幅した後、市が桜を植栽する。4月時点の用地取得率は88%で、本年度は事業費7500万円で用地取得の完了を目指すとともに、水路工事や防護柵設置工事を進める。
県道上高根沢氏家線の櫻野工区は、バイパスの整備で国道293号氏家アンダーの補完路を確保し、国道4号へのアクセス強化を図る。主要地方道大田原氏家線は現状、国道293号とのT字路が終点で、その先線のさくら市道U1-13号も狭いため、これを拡幅して十字路とし、南側の市道U1-17号まで延長1480mにわたり拡幅改良する。4月時点の事業進ちょく率は24%で、用地は91%を取得。本年度は事業費1億5000万円で、用地取得と道路改良工事を進める。
主要地方道宇都宮向田線の上高根沢工区は近隣に上高根沢小学校や保育施設があり、歩行者の安全確保のため歩道を整備している。同小の通学路となっている旧道分岐から合流部までの2100mについて、幅員11mに拡幅し北側に歩道2.5kmを確保する。このうち、中間部の石末真岡線と上高根沢氏家線との間700mを先行して事業を進めており、22年度末の用地取得率は78%、事業の進ちょく率は16%。本年度は事業費1億4750万円で、用地取得を完了させ道路改良工事を進める。
道路防災工事では、道路防災点検で確認された落石の危険を解消するため、落石防護ネットを整備している。主要地方道塩原矢板線(八方道路)の矢板市平野は工事を発注し、新たな施工箇所の用地調査にも着手した。県道県民の森矢板線は、矢板市長井で2カ所の工事を発注している。
河川・砂防事業は、一級河川江川のさくら市鹿子畑で、河積断面を確保するため河川を改修している。用地取得率は95%で、本年度は残る用地の買収を計画する。また一級河川荒川(塩谷)外は、浸水被害の軽減や河積の確保のため堆積土を除去している。本年度は事業費1億4000万円で、矢板市ほか8カ所で工事を行う。土砂災害特別警戒区域に指定されているさくら市狭間田の急傾斜地根本Aでは、擁壁設置の最後の施工箇所を発注しており、本年度の事業完了を目指す。
保全事業は、老朽化により劣化した国道461号の大渡橋で、22年度補正予算を活用し橋面防水や伸縮装置・止水材の取換えを実施している。県道東古屋上寺島線の元古屋橋は、橋梁判定でIII判定となり補修工事が必要となったため、橋面舗装と伸縮装置に1458万円を配分して9月に指名競争で発注する。
西荒川ダムと塩原ダムは、管理水準を超えている堆積土を除去する。西荒川ダムは発注済で、塩原ダムは第4四半期に一般競争入札で発注する。
新規事業は、国道293号の鹿子畑で、急カーブが多く大型車のすれ違いが困難なため線形を改良する。延長1700mにわたり、幅員6mの現道を12m(車道3.25m×2、路肩1.5m×2、歩道2.5m×1)に拡幅する。本年度は用地取得に向けた用地測量と用地調査を、第3四半期から第4四半期にかけて発注したい考え。24年度は用地取得を進め、工事に着手する。総事業費は6億円の見込み。
県道佐久山喜連川線は、さくら市下河戸で現道を拡幅し歩道を整備する。幅員6mを10.5m(車道3m×2、路肩1m×2、歩道2.5m×1)にし、あわせて宮下橋に側道橋を整備する。23年度は用地取得のための用地測量と物件調査を進め、側道橋の詳細設計も発注した。24年度は用地取得と工事に着手する。総事業費は9億5000万円を計画する。
主要地方道宇都宮船生高徳線は、塩谷町西船生で歩道を整備する。現道の幅員6mを10m(車道3m×2、路側帯1m、路肩0.5m、歩道2.5m×1)にする計画で、総事業費は5億円。本年度は事業費3000万円で用地測量および物件調査を発注しており、24年度に用地取得して着工したい考え。
県単では、新たに3カ所の調査に着手する。県道大田原矢板線外の矢板市土屋外では交通量調査業務を発注し、交通量を推計して矢板市と拡幅またはバイパス整備の方向性を協議する。
主要地方道矢板那須線の矢板市下伊佐野は、現道のクランクカーブとなっている延長400mの線形改良を計画する。本年度に平面図化し、3年後の詳細設計や用地調査を見込む。
県道上高根沢氏家線のさくら市・高根沢町の氏家新田外は、現在整備中のバイパスの延伸を検討しており、概略検討の業務を発注した。事業評価の報告案件とした上で、事業に着手する。