［2023/8/31　茨城版］
　県鉾田工事事務所(秋山文昭所長)はこのほど、本年度の主要事業をまとめた。道路整備では、国道355号牛堀麻生バイパスや水戸神栖線、水戸鉾田佐原線などの整備を行う。河川整備では、巴川で河川改修や排水樋管工事を推進する。このほか、旭海岸での粗粒材養浜工事や、急傾斜地での対策工事、鹿島灘海浜公園でのボードウォーク更新工事などを盛り込んだ。

　道路整備のうち、国道355号牛堀麻生バイパス整備事業では、本年度に行方市区間で用地補償と道路改良舗装工事を実施していく。同線は潮来市と笠間市を結び、鹿行地域と県央地域を横断して広域的な経済活動を支える幹線道路。しかし、国道51号から国道6号までの区間で交通渋滞が発生しているほか、行方市麻生地内の市街地では現道が狭く、歩行者の安全確保が課題となっている。さらに、災害時には第一次緊急輸送道路としての役割を果たす必要があるため、国道51号から行方市麻生までの約5km(鉾田工事管内2.5km)でバイパス整備を進めている。全体計画は延長10.8km、幅員25m／14mで、総事業費は180億円と試算。復興区間約5kmの進捗率は22年度末で75％(用地98％)となっている。

　水戸神栖線道路整備事業では、本年度に玉造甲地区で用地測量、手賀地区で工事と用地補償を実施する。同線は鹿行地区を南北に縦貫する広域的幹線道路であるとともに、緊急輸送道路としても需要な路線となる。このうち、行方市内では、大型車両の交通量が多く、車道の線形が現在の規格を満たしていない箇所があり、円滑な通行や通学路の安全対策に支障をきたしている。そこで、適正な線形にするための道路改良や歩道の設置を行っていく。

　全体計画は、玉造甲地区(行方市玉造甲)で延長1020m、幅員15m／6.5m、総事業費は7億円と試算。進捗率は4％となる。一方、手賀地区(行方市手賀)は延長2100m、幅員15m／6.5mとし、総事業費は6億5000万円に設定。進捗率は24％となっている。

　水戸鉾田佐原線道路整備事業では、本年度に道路改良工事を実施していく。同線は水戸市から鉾田市と行方市を経由し、千葉県香取市に至る広域的な幹線道路。このうち、行方市山田地内においては、現道が急カーブで縦断勾配がきついことや、12年度に国道354号鹿行大橋が開通したことで、大型車などの交通量が増加しており、円滑な交通に支障をきたしている。今後は東関道水戸線の開通が予定されており、仮称・北浦ICへのアクセス道路として、さらなる交通量の増加が見込まれることから、バイパス整備を進めている。全体計画は延長800m、幅員12m／6mとし、総事業費は15億円と試算。進捗率は81％(用地100％)となる。

　巴川広域河川改修事業では、本年度に河川改修工事と排水樋管工事を予定する。巴川では、河川断面が狭小であることから、大雨時には浸水被害が発生している。そこで、被害をなくすよう流下を阻害する橋梁の架け替えを進めるとともに、下流から河道掘削と堤防整備を進める。全体計画は延長4840mで、総事業費は62億円と試算。進捗率は70％となる。

　海岸浸食対策事業では、本年度は旭海岸で粗粒材養浜工事を行う。同事務所管内の海岸をみると、鹿島灘海岸では、依然として浸食が著しく、砂浜の維持・安定化を図るため、ヘッドランドと養浜工をあわせた工法で浸食の防止に努めている。鉾田海岸では近年、砂浜の後退が見られており、地元の意見を考慮しながら工法の検討を進めている段階にある。全体計画はヘッドランド17基、養浜145万5000立方ｍとし、総事業費は198億円に設定。進捗率は37％となり、これまでにヘッドランド15基、養浜工(粗粒材)14万8000立方ｍの整備が完了している。

　急傾斜地崩壊対策事業では、本年度に行方市本宿地区や鉾田市梶山-2地区ほか2カ所で対策工事を行う。この事業は急傾斜地でがけ崩れの恐れのある危険箇所の崩壊対策を進めるもの。また、崩壊対策工事とあわせて、危険性のある区域の明確化や警戒避難体制の整備など、ソフト対策の充実を図るため、土砂災害防止法による土砂災害警戒区域などの指定見直しを進めている。全体計画は99カ所(鉾田36カ所、行方63カ所)とし、進捗率は64％(63カ所概成)となる。

　鹿島灘海浜公園事業では、本年度にボードウォーク更新工事を実施していく。この事業は鹿島灘の恵まれた自然環境を活用し、県民のレクリエーションニースに対応した広域公園として、施設の改築・更新を進めている。事業面積は27haで、総事業費は約55億円となる。供用開始済は20.6ha(ボードウォーク、休憩棟、ピクニック広場など)となっている。