国交省 首都国道事務所の田中満所長インタビュー 北千葉道路の建設促進 予防保全型修繕に意欲
国土交通省首都国道事務所の田中満所長(56)が弊紙インタビューに応じた。「外環(東京外かく環状道路)に続く次の高速道路ネットワークとして、地域の期待が大きい北千葉道路事業をしっかり進めていく」と意気込みを表明。「新しい技術を提案するなど、互いに刺激しあう関係を築いていきたい」と語り、建設業界とのさらなる協力に期待を示した。
──就任の抱負を
「重責に日々緊張して過ごしているが、笑顔のあふれるあたたかい職場で、みんなの笑顔に癒やされている。“現場力・防災・DX・連携”を意識し、明るくチームワーク良い職場づくりに努め、チームプレーで道路の可能性を拡大したい」
「私自身はバブル世代だが、特にZ世代の意見を聞きながら事務所を盛り上げたい。所属を超えた仕事、ワクワクするような仕事のアイデア出しの場を提供するため、毎週、ウェブ会議と併用、約60人いる全職員を対象に自由参加の所内会を開いている。6月には、中部地方整備局名四国道事務所と姉妹事務所協定も締結した。地方整備局の中でも初の試みで、他地整との情報交換(ウェブ会議)は新たな刺激になる。事務所、地整の枠を超えて活躍できる人材を育てたい」
──印象に残った仕事は
「歴史的な街並み整備の補助事業、地域づくり“関東の富士見百景”の立ち上げ、道路管理予防保全の取り組みなどいろいろあるが、災害対策マネジメント室の初代室長を務めたことが印象深い。技術エキスパート部会で災害対策部会を立ち上げ、建設業会などと連携、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)訓練を全国で初めて実施した」
──千葉県庁でも勤務された
「令和元年東日本台風では、リエゾンとして県庁災害対策本部に約2週間派遣され、ブルーシート対応など連日、非常体制のなかで過ごした。当時の経験は、後にテックフォース総合司令部(さいたま新都心)で全国から集まったテックフォースへの指示や、建設業協会などへの協力依頼などのマネジメントに役立った」
──今後、重点的に進めたいことは
「地域から期待されている北千葉道路事業をしっかり進める。成田空港へのアクセス強化・災害時の代替路線など、非常に重要な道路であり、整備にあたっては外環整備で得た経験を活かしたい。平時からの連携・工夫により外環や湾岸道路を有効活用してもらい、その整備効果を広く展開、次の高速道路ネットワークとして北千葉道路整備への機運を高めていく」
「供用から5年となる298号東京外かく環状道路(千葉区間)については、“使いこなす、育てる、楽しむ”をモットーに、サービス提供の場として管理していく。防災拠点として道の駅「いちかわ」を活用することや、ETC2・0のデータを活用した渋滞対策、交通安全対策を検討している。外環の“トリセツ(取扱説明書)”などもつくってみたい。関東道路メンテナンスセンターと連携しながら、新たな予防保全型修繕の取り組みにもチャレンジしていく」
「国道357号東京湾岸道路については、舞浜立体の開通により、舞浜交差点周辺において交通の円滑化が図られている。今年度は、隣接区間の塩浜立体で橋梁上部工事に着手、冠水など地域の課題を解決するため、舞浜雨水貯留管工事を推進していく」
──防災について
「首都直下地震の対応として、道路啓開計画“八方向作戦”では、当事務所が北東方向からの緊急点検・道路啓開を担当する。関係機関、地域のみなさんと連携・協力しながら、災害対応力の強化にも積極的に取り組む」
──建設業界へのメッセージを
「ともにインフラ整備を支え、自然災害からの復旧など地域の守り手として不可欠なパートナーだ。災害時の連携協力は特に重要だが、平常時から互いの顔の見える関係を築くことが大切であり、例えば建設業協会のみなさんと連携した防災訓練などの取り組みなどをできないか考えている。建設業のみなさんがインフラ整備や災害復旧といった重要な役割を果たす一方で、私たちも発注者として、技術革新や持続可能な開発への挑戦を共有、互いに刺激しあう関係を築いていきたい」
プロフィル
たなか・みつる 1967年1月生まれ。山梨県北杜市出身。89年3月岩手大学工学部土木工学科卒業、同年4月建設省入省。甲府河川国道事務所副所長、災害対策マネジメント室長、防災室長、道路計画第二課長、交通拠点調整官などを経て2023年4月から現職。趣味は自然観察やアウトドア、ガーデニング、温泉めぐり、サッカー観戦(特にヴァンフォーレ甲府)。山梨百名山のうち約20座を踏破。心がけていることは「目の前のことをひとつひとつ、良かれと思ったことを積み重ねる。シンプルに考え次へつなげる。わくわく楽しむ」