駅舎で設計に着手 常陸多賀駅周辺地区の整備(日立市)
[2023/8/23 茨城版]
日立市は、常陸多賀駅周辺地区整備事業で、本年度予算に2億0882万円の事業費を計上している。秋ごろにもJRと基本協定を結び、駅舎や東西自由通路の基本設計に着手するほか、本年度末までにはグランドデザインをまとめる。市では、駅周辺地区の駐車場や駐輪場の配置計画の検討なども進め、早ければ東口駐車場の基本設計にも着手する意向だ。
常陸多賀駅は市内にあるJR常磐線5駅のうち南から2番目に位置し、周辺は市内で最も多くの人口を有する。17年度末には「ひたちBRT」が同駅に乗り入れ、19年4月には専用道路による運行を開始するなど交通結節点としての期待が高まっている。その一方、線路による東西の分断や、東口駅前の未整備による西口駅前広場の交通混雑、1955年完成の駅舎老朽化などの課題を抱え、地域の活性化なども急務となっていた。
こうした状況を受け、駅周辺について、BRT乗り入れに伴う交通結節点としての機能強化や、常磐線の東西に形成された市街地の連携など、まちづくりの課題を解決する駅周辺の一体的な整備を行うものとして今回の事業を計画。19年度には整備計画策定委員会が設置され、20年3月までに常陸多賀駅周辺地区整備計画としてまとめた。
施設整備に当たっては、駅周辺施設の整備を短期的・重点的に整備し、これと並行しながら中長期的に各種の施設整備を進めていく。短期的・重点的な整備では、BRTの日立駅方面へのルート延伸整備を見据えて、▽駅東口の広場整備▽東西自由通路・駅舎の整備▽南北アクセス道路の整備──を掲げ、28年度中の完了を目指している。
中長期的な施設整備では、駅西側に隣接する市有駐車場などを含めて、民間事業者を活用しながらにぎわい創出に向けた公共公益施設の誘致などを図っていく考えで、事業の進捗状況を見ながら再開発やPFIなどの事業手法を検討していく。駅東口広場や関連道路などの面整備については、土地区画整理事業などの手法も視野に入れる。
駅舎や自由通路、広場などの中核的施設の整備に当たっては、良好な都市景観の形成や魅力あるにぎわい空間の創出のためのグランドデザインを策定し、一体的で魅力的なデザインや空間形成を目指す。デザイン監修は、マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所(東京都渋谷区)に委託。本年2月に素案がまとめられ、本年度中には駅舎と自由通路、駅東西などエリアごとのデザインを定める計画だ。
駅舎や東西自由通路の整備では、JR東日本との協議を進めているところで、早ければ秋ごろにも基本協定を結び、基本設計に着手する。基本設計は、グランドデザインと調整しながら進められていくもようだ。
BRTルートは、駅東口広場からJR常磐線を跨ぎ、駅北側で都計道多賀停車場兎平線(大学通り)と接続する。関連する4路線では現在、都市計画の変更手続きが進められるところで、10月から11月ごろにも市の都計審に諮り、年内にも告示される見通しだ。