概算費に135億円 市道0139号線整備 地域住民説明会を開催(常陸太田市)
[2023/8/9 茨城版]
常陸太田市は、真弓トンネルなどで日立市と結ぶ市道0139号線整備事業で、7月に2度の住民説明会を開催した。会場となった生涯学習センターには、市民や市内の事業者ら約120人が参加し、事業概要などが説明された。概算事業費は135億円に設定。本年度は、県に委託して橋梁の準備工事などを行う計画で、29年度の完成に向けて引き続き用地取得や関連工事を進めていく。
市道0139号線は、日立市内の国道245号から笠間市内の国道50号を結ぶ日立笠間線の一部として整備を行う市内の区間。日立笠間線は、日立市河原子町から笠間市笠間までを結ぶ総延長約48.9kmの幹線道路だが、今回の事業区間としている市街地と日立市の山側道路までを結ぶ未整備区間では、東西の交通ネットワークとして物流や通勤などを支えるほか、市民が日立市内の高度医療体制を活用するにも重要な路線と位置付けている。また、市内で新たに商業拠点を形成する東部土地区画整理事業地へのアクセス道路としても期待が大きくなっている状況だ。
一方、当該区間の現況は急峻な山岳地で幅員も狭く、一部は道路形態のない交通不能区間になっている。このため、県では真弓トンネル区間を含む総延長約5.6kmのバイパスを計画し、1997年に日立笠間線真弓ルートとして事業化した。その後は、事業費などの問題から進んでいなかったが、市と日立市が合併特例債を活用して進めることが決定し、18年度から県による調査などに着手した。
全体延長5480m(車道幅員6.5m、2車線)のうち、市道0139号線は延長5030m、日立市の金沢町地内道路(市道6750号線)区間は延長450mとなる。現在のところ、全体事業費は約135億円を見込み、22年度末の進捗率は事業費ベースで15%、用地取得率は面積ベースで90%の確保を完了した。
区間内には、延長2084mの真弓トンネルや5カ所の橋梁を整備する。日立市では、トンネル区間の一部を除いて市が改良工事などを進めるが、常陸太田市ではトンネル区間や橋梁などを含めて全区間を県に委託して設計や工事を進めている。
5カ所の橋梁のうち、2橋については下部工事までが既に完了。本年度は、残り3橋の橋梁整備に向けて、準備工事や仮設道路の整備に向けた伐採などを進めるほか、引き続き用地取得も実施する。トンネル区間については、掘削工事などに2年、設備工事などに1年の計3年間で整備を進める。設計までがほぼ完了したもようだが、着工時期については未定としている。
今回の説明会は、新型コロナウイルスが5類に位置付けられ、今後の事業などがある程度見通しできる状況となったことから開催された。説明会の参加者からは、事業費や完成時期、渋滞対策、騒音対策などに対する質問があったという。また、東部土地区画整理事業地内の事業者からは、市内へのアクセス向上を期待し、早期の完成を求める声もあったとしている。