災害対応に万全を 各部局が合同で風水害対応訓練(県災害対策本部)
[2023/8/5 茨城版]
県災害対策本部事務局は2日、県庁で風水害対応訓練を実施した。今回は後発地震注意情報が発令された状況で台風が接近し、土砂災害や洪水が発生したことを想定。初動体制の確立や災害対策本部の適切な運営など、ブラインド方式で訓練を行った。なお、今回は昨年に引き続き、災害対策本部事務局に加え、保健医療部と福祉部、土木部、企業局らも訓練に参加。このうち、土木部ではブラインド方式の実動訓練、企業局では水質事故を想定した実動訓練などに取り組んだ。これから本格的な台風シーズンを迎えるにあたり、今後は訓練を活かして万全の対応をとる考えだ。
今回の訓練では、地震と風水害が発生したという共通の設定のもと、それぞれが訓練を実施。このうち、災害対策本部事務局では、災害対処能力の向上を目的に、図上訓練を行った。
図上訓練には、対策本部事務局員や自衛隊、県警察本部、いばらき消防指令センターなど約120人が参加した。北海道・三陸沖後発地震注意情報が発令された状況で、台風の接近により、北茨城市で河川水位が上昇し、洪水や土砂災害発生の危険性が高まっている中、地震による被害や河川の増水による洪水が発生したというシナリオとなる。
訓練では、実際の災害発生時に近づけるため、参加者にシナリオを提示しないブラインド方式を採用。その際には、複数のデマや断片的な情報など、詳細が把握しづらい状況を作り出し、より実践的な訓練となった。
土木部と企業局では、被災箇所の情報提供や報告を行う実動訓練を実施した。このうち、土木部では、地震や豪雨によって、県内全域で破堤や土砂崩れなどの被害が発生したことを想定。なお、今回は初めてブラインド方式を採用した。地域住民からの通報を受けて、職員が被災箇所に向かうというシナリオを採用し、より実践的な訓練となった。
内容としては、職員の安否確認や被災状況などの情報収集、災害対応指示など、災害対策室を設置し、災害時の役割確認を実施。また、出先機関に配備済のドローンを職員が操作し、現地から災害対策室へリアルタイムで映像の共有を行った。
さらに、今回は各業界団体と連携した訓練も実施。県建設業協会には県内各地でパトロールの依頼を行うほか、災害協定を締結しているこのほかの業界団体とは情報伝達の確認を行った。
企業局では、地震を含む風水害が発生し、土砂崩れによる県水管の破断や停電、利根川上流で科学物質が流出したことなどを想定。実動訓練では、自家発電機の試運転や水質検査用の採水、給水タンクへの給水、最寄りの水道事務所への避難などを行った。また、局長室に設置した災害対策本部では、ウェブ会議で現地と繋ぎ、連絡を取り合った。
田村央土木部長は頻発する自然災害に触れ、「今回の訓練で想定した地震と台風の二重災害も発生する可能性がある。日頃から災害が発生した場合を想定し、準備を行ってほしい。また、ブラインド方式を採用することで、実際の災害と同様に訓練を行うことができ、良い備えとなった」などと述べた。
稲見真二企業局長は「今回は大規模な複合災害を想定した訓練となり、近年の激甚化する自然災害に対応するという観点で非常に有意義だった。また、これから本格的な台風シーズンを迎えるにあたって、災害発生時の初動対応の確認を行ったことは、非常に重要なことだったと考えている。我々の使命は安全・安心な水の安定供給であり、さまざまな災害に備えて、管路の耐震化や非常用電源装置の設置などハード面の対策に加えて、職員の意識向上や危機管理対策など、ソフト面にも取り組み、万全を期していきたい」とコメントした。