再公募で2社を選定 ダイキンは関東初の空調機工場 大和ハウス工業で物流施設(県新工業団地)

[2023/8/4 茨城版]
 県立地整備課はこのほど、つくばみらい市の新工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」で進めていた企業募集の再公募について、ダイキン工業(大阪府大阪市)と大和ハウス工業(大阪府大阪市)の2社に決定したことを明らかにした。これにより、工業団地の分譲は完了となった。2日にはダイキン工業の十河政則代表取締役社長兼CEOが県庁を訪れ、大井川知事と面会した。それによると、同社は取得する用地に関東初となる空調機の生産工場を整備する計画。今後は段階的に工場を整備していく考えで、ステップ1では約200億円を投じて国内向け住宅用空調機の生産拠点を整備する。工場の操業開始時期は27年から28年ごろになる見通しだ。

 県では圏央道周辺を中心に企業立地が進み、産業用地が急速に減少していることを受けて、約20年ぶりに工業団地の整備に着手。「圏央道インターパークつくばみらい」は、つくばみらい市福岡地区に位置し、面積は約70.3haとなる。このうち、分譲面積は約60.5haで、区画[1]から区画[6]に分割。第1次分譲では、日清食品(大阪府大阪市)をはじめとする5社の立地を決定した。

 事業者が決定しなかったのは、区画[2](9.9ha)と区画[5]の南側(1.8ha)となる。これらの用地については、課題に対応したうえで3月から再公募を実施した。審査の結果、2社を選定することになった。

 このうち、ダイキン工業は区画[2]の用地9.9haを取得する。同地には、関東初となる国内向け住宅用空調機の生産拠点として整備していく。

 新工場の狙いとして、日本最大の市場である関東エリアの供給力強化を目指すとした。同社の生産拠点は、関西圏に集中している状況にある。関東に拠点を整備することで、需要変動に応じたタイムリーな製品供給を目指していく。あわせて、深刻化する輸送費の高騰やドライバー不足など、長距離輸送の課題にも効率的な対応が期待できるという。

 このほか、住宅用空調機のマザー工場は滋賀製作所(滋賀県草津市)が担っているが、同工場は手狭になっており、新しいことにチャレンジするスペースを確保するため、新工場の建設を検討していたと説明。さらに、生産拠点の分散による供給リスク低減も理由として挙げている。

 なお、同社は新工場建設を海外の生産を国内に移す「生産の国内回帰」ではなく、純粋な「国内生産の強化」と位置付けている。つくばみらい市を建設地に選んだ理由としては、都心から約40kmの場所に位置し、圏央道の開通によって利便性が高いことや、近郊市の生産年齢人口が増加傾向にあることなどを挙げる。

 新工場は段階的に整備していく。ステップ1では、約200億円を投じ、住宅用空調機の工場として整備する。規模については、延べ約1万1000平方mとし、生産台数は年間50万台程度を想定。雇用については、300人から400人程度を計画している。

 第1ステップの工場の操業開始時期は、27年から28年ごろを見込む。その後は事業環境の変化を見極めながら生産品目の拡充など、設備投資を実施していくという。

 十河社長は新工場整備の経緯を説明したうえで、「新拠点の設立を契機に、当社のモノづくり力の更なる強化を図るとともに、茨城県が目指す質の高い雇用の創出と茨城県の経済の持続的な発展に貢献していきたい」とコメントした。

 これに対して大井川知事は、立地先として本県を選んだことに対して感謝の意を表したうえで、「本県の地域経済を力強く牽引する産業拠点となるよう、県としても全力で支援する」と述べた。

 再公募では、ダイキン工業に加えて、大和ハウス工業の立地が決定した。大和ハウス工業は1.8haの用地を取得する。同社は取得した用地で物流施設の整備を計画しているという。

 今後は年内にも土地売買契約を締結する。土地の引き渡しは23年度以降になる見通しだ。

 なお、今回の決定により、圏央道インターパークつくばみらいは完売となった。新工業団地関連で県は今後、坂東市の「フロンティアパーク坂東」などの開発を進めていく計画。その後は、企業のニーズを踏まえながら検討するという。

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