町民広場を建設地に 新庁舎整備委 基本計画策定に向け協議(高根沢町)
[2023/7/22 栃木版]
高根沢町は19日、町役場で第9回新庁舎整備検討委員会(委員長・佐藤栄治宇都宮大学准教授)を開催した。今回の会議では、新庁舎整備の基本計画の策定や、新庁舎建設予定地、新庁舎の機能などについて協議した。このうち建設予定地は、現町役場(既存敷地)と町民広場で比較検討した結果、委員会は町民広場を推薦した。
町では、現在の本庁舎の老朽化や狭あい化、分散化などの問題を解決するため、新たな庁舎に建て替える。
検討委員会では2022年度までの検討内容を踏まえて、町へ高根沢町新庁舎整備基本構想に係る答申書を提出。それを受けて町は、基本的な方針を示した基本構想を23年3月に策定した。基本構想および基本計画の策定は、梓・AIS・八千代エンジニヤリング共同企業体が担当している。
本年度は、基本構想の内容をさらに具体化した高根沢町新庁舎整備基本計画を策定する必要があるとして、検討委員会でも検討を進めていくことを決議した。
基本構想の中では、新庁舎の建設候補地を「既存敷地」と「町民広場」の2カ所としている。今回検討委員会では、両候補地を事業費、災害リスク、利便性、事業に要する時間、敷地、環境の視点から比較検討して協議した。
事業費を見ると、インフラ設備にかかる費用として、既存敷地では排水処理施設として地下式浸透槽が必要となり、町民広場では浄化槽の設置や浸水対策として地盤かさ上げ、開発面積の規模に応じた調整池が必要になる。解体費用については、既存敷地では既存本庁舎の解体が必要となり、町民広場では複数の公共施設を解体した場合、事業費への影響が大きくなる。
その他の事業費として、町民広場の支持層は6mと浅い位置にあるが、既存敷地は27mの位置にあるため、耐震性の確保が必要になる。
事業に要する期間は、工事に要する期間として既存敷地では仮設庁舎の建設場所に適した土地を探し、仮設庁舎建設・移転の後に新庁舎の建設を行うことが必要となる。町民広場は、外構、建築、解体等を複合的に実施して工期の短縮を図れる可能性がある。
敷地について、既存敷地は不整形地であり、駐車場や建物の配置などが設計に与える影響が大きい。一方、町民広場は整形であると評価した。
環境の視点からの評価では、工事中の周辺環境への影響として、既存敷地は近隣が住宅地で工事による騒音・振動などの影響が大きいことに比べ、町民広場では隣接地がほとんど農地であり、周辺環境への影響はないとした。
総評で、既存敷地は駐車場の面積確保に不安があること、他の公共施設との機能連携や災害時の多目的な活用が見込めないと評価した。一方、町民広場は町民グラウンドに隣接し、複数の町関連機関などとの連携や、災害時に防災関係機関の活動拠点としての敷地提供も可能としている。
検討委員会では、これまでの検討の経緯と各候補地における条件を比較した結果から、「町民広場」の方が建設予定地として優れていると結論付けて、同地への建設を町に推薦することを決議した。
新庁舎の機能等について、町は職員などで構成する庁内検討会議の下に作業部会・作業班を設置して検討を進めていることを報告した。その上で、これまでに委員から出された意見を提示し、新たな意見を求めた。委員からは、キッズスペースの設置や新庁舎の防犯対策、災害発生時の対応などについて意見が出された。
町ではこれらの意見も参考にして、今後建物の概要も検討していくとした。