週休2日が399件 担い手確保工事の実施状況(県土木部)

[2023/7/12 茨城版]
 県土木部が発注する建設業の担い手の確保・育成に関する工事について、昨年度の実施状況が分かった。対象となるのは、完全週休2日制促進工事とICT活用促進工事、ASP、遠隔臨場、快適トイレ普及促進工事で、各工事ごとに実施件数を明示している。それによると、週休2日制は399件で実施し、過去最大の実施件数となった。県検査指導課では、来年度に迫る建設業の時間外労働の上限規制に対応するため、さらなる取り組みを推進していく考えだ。また、ICT活用促進工事は162件、ASPは1533件、遠隔臨場は502件、快適トイレは567件での実施となり、いずれも過去最大の実施件数となっている。

 担い手確保工事について、項目ごとに実施件数をみると、完全週休2日制促進工事では、前年度比で151件増の399件となった。実施件数が増えた要因のひとつとして、22年10月から発注者指定型が開始となったことが挙げられる。3000万円以上の土木一式工事は原則、発注者指定型の対象となるため、実施件数の増加につながった。

 ICT活用促進工事は同53件増の162件となる。22年4月からチャレンジいばらき簡単活用型を導入した結果、1000立方m未満の土工を含む工事もICT活用促進工事の対象となったため、対象件数が前年度の274件から596件へと大幅に拡大している。対象工事が拡大したことに伴い、実施件数は過去最大を記録することになった。

 ASPについては、22年4月から県土木部発注の営繕工事を除くすべての工事で原則適用となっている。件数は同970件増の1533件で活用となった。活用できなかった工事をみると、小規模な工事での実施率が低いことが判明。今後はさらにASPの活用を促進するための取り組みを行っていくという。

 遠隔臨場については、同434件増の502件での実施となった。また、快適トイレ普及促進工事では、同135件増の567件となる。快適トイレについては、昨年度から要領上の変更はなく、これまでのルールを踏襲している。そうした状況で件数が増加したのは、制度に対する認知度が高まったからではないかと、県担当者は分析している。

 なお、県土木部では、働き方改革やICT活用などの取り組みをさらに促進するため、本年4月1日付で実施要領の新設や改定を実施。このうち、週休2日制では、新たに4週8休制(月単位)を導入するとともに、発注者指定型の適用範囲の拡大を行った。

 本県ではこれまで、完全週休2日制の取り組みを推進してきた。ただし、建設業の2024年問題が直前に迫っていることを踏まえ、4週8休の取り組みでも可とするよう要領を変更。あわせて、発注者指定型については、これまでの「予定価格3千万円以上の土木一式工事」から「予定価格3千万円以上の工事」へと範囲を拡大し、すべての業種で完全週休2日または4週8休制に取り組めるようにしている。

 また、ICT活用工事については、発注者指定型とチャレンジいばらきI型の適用範囲を拡大するため、適用基準である土工量(掘削または盛土)について、従来の7000立方m以上から、5000立方m以上の工事に引き下げた。また、対象工種の拡大として、構造物工と法面工を追加している。

 さらに、県土木部が6月に公表したICT技術活用の実施方針において、今月1日から、原則すべての発注工事で「ICT機器による施工」とASPを義務付けると明記した。この実施方針で示すICT機器の施工とは、「ICT建設機械による施工」と「ICT測量機器による測量」、「遠隔臨場」を指す。この実施方針では、これらのIC機器による施工のうち、いずれかを選択して実施することが求められている。そのため、遠隔臨場などの実施件数は昨年度よりもさらに増加することが予想されているという。

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