データセンター適地と判断 栃木IC周辺 造成や電力供給整備も(栃木市)
[2023/7/1 栃木版]
栃木市は、東北自動車道栃木IC周辺に、データセンターの新規拠点整備を計画している。栃木インター周辺地区の事業実施可能性調査を行い、このほど調査結果をまとめた。それによると、自然災害リスクが低く、電力通信インフラが整っており、再生可能エネルギーによる電力供給が可能で、事業者が進出するための補助制度の充実も見込めることから、データセンター整備に適地だとした。今後、市は企業誘致に取り組み、栃木インター周辺地区の造成事業も進めるとしている。
国は、データセンター誘致に前向きな地方公共団体として、栃木市の栃木インター西産業団地地区などを候補地に選定した。市は同地区の開発にデータセンターの誘致を構想し、データセンター事業実施可能性調査に係る補助事業者に応募し、国から中核の候補地として採択されている。
栃木インター周辺地区は栃木ICの北側に位置し、主要地方道栃木粕尾線を挟んで西側が西地区(A約23ha)、北側が北地区(A27ha)となっている。用途地域は西地区・北地区ともに、工業地域への変更を予定している。西地区は市街化区域、北地区は市街化調整区域となっているが、2025年度末に市街化区域に編入予定となっている。
市は、コロケーション型(サーバー室の一部または全部の区域をテナントに貸す形態)のデータセンターを中長期的な観点から誘致することを主眼として調査を行った。調査対象地は、西地区の4.5haと1.2haの区画と、北地区の10haの区画となっている。
データセンター拠点の候補地への評価は、市民や地権者の理解があり協力体制が整っていることや、東日本台風などでも栃木インター周辺地区では被害がなかったことが評価された。
電力インフラ等は、計画地に複数の建物(データセンター)へ50規模の電力を引き込むことが可能。現在は計画地に電力引込線は整備されていないが、西地区の北端に地下埋設による整備が可能とされている。
通信インフラ等は、NTT・東京電力・ケーブルテレビの3社の光ファイバー網が栃木粕尾線沿いに架空で整備されており、いずれの事業者も計画地に引込が可能とした。架空(一部区間は地下埋設)で計画地に連絡し、計画地内の建物までのルートを地下埋設で整備できる。データセンター事業者等のニーズに従って通信容量の増強はおおむね可能としており、増強にあたっては光ファイバーの芯数増強や波長貸しも可能としている。
災害の強さに対しては、岩盤の強さを調査し、基礎工法は地盤改良または杭基礎が考えられるとした。再生可能エネルギーについては、栃木IC周辺でも1万kW以上の施設が4カ所所在しており、利用も検討可能な状況とした。
インターネットエクスチェンジについて、栃木インター周辺地区から大手町までの距離は約80kmで、各社大手町間のレイテンシーは2~7.5m程度であり、市内からも大手インターネットエクスチェンジ事業者と接続している。
整備にあたっては、国が示すロードマップと栃木インター周辺地区の西地区の整備・分譲スケジュールが合致できる。自然災害リスクに対しては、宅地の盛土で浸水の恐れのない高さに造成するとしている。
栃木インター周辺地区の造成事業は、西地区が24年度までに実施し、24年度中に一部分譲開始予定としている。電力供給に係る整備は、25年度中に完了する。北地区は26年度から、造成工事を開始する予定となっている。