年度内に基本設計 新処分場併設の学習施設整備(県環境保全事業団)

[2023/6/15 茨城版]
 県環境保全事業団は新産業廃棄物最終処分場に併設する学習施設の整備を進めている。昨年度に策定した基本計画によると、施設には交流スペースや常設展示、ワークショップなどの機能を盛り込む。施設は平屋と2階建ての2パターンを想定し、規模は延べ1000平方m程度に設定。現在は基本計画の内容を内部で精査している段階にあり、年度内に基本設計に着手する予定だという。

 この事業は日立市内に整備を行う新最終処分場の併設施設として、環境学習施設を整備するもの。昨年度は県資源循環推進課で基本計画を策定。基本計画の作成業務はトータルメディア開発研究所(東京都台東区)が担当した。基本計画の策定を受け、本年度からは基本設計に取り組む。なお、基本設計からは県環境保全事業団が事業を担当することになる。

 計画の内容をみると、整備の方向性については、環境に関する総合的な理解を促進することに加え、同施設を拠点とした地域間交流を図り、県内全域に波及できるような広がりをもった環境学習を提供できる場を目指すと明記。そのため、目標には、▽学び、行動する次世代を育成▽地域間交流の促進▽県民全体の意識を醸成──を掲げ、持続可能な社会の実現に向けた効果的な環境学習を行うことを示した。

 環境学習のテーマについては、新処分場に併設するという特性を活かし、廃棄物を主なテーマとした学習から自然環境の保全、地球規模の環境問題まで、3つのテーマに発展する環境学習を展開していく。各テーマごとに展示学習や体験学習、交流・啓発活動の側面からアプローチすることになる。

 このうち、廃棄物と資源循環に関する展示学習では、日々の生活と廃棄物との関わりや、資源循環と廃棄物処理の仕組み、循環型社会の形成などの内容を盛り込む。資源循環については、3Rや廃棄物処理の仕組みなどを解説する。さらに新処分場の併設施設という特性を活かし、新処分場の施設そのものを循環型社会形成に係る実物展示と捉え、廃棄物処理の現場を実感しながら、新処分場の役割と必要性を学ぶ施設見学を行う方向性を示した。展示手法としては、実物やグラフィック空間、映像演出などの展示を想定している。また、体験学習には廃材・素材を利用したリサイクル工作などを計画する。

 施設の機能としては、交流機能と学習機能、連携機能を盛り込む。このうち、交流機能では、エントランスホールや受付を配置するとともに、適切な情報提供や新処分場の紹介なども行える場として整備する。また、学習機能では展示室や多目的室、工作体験室を配置。連携機能では、ボランティア室兼会議室や調査研究室などの配置を計画している。

 今後の設計では、効率的な運営ができるような工夫として、機能的な関わりが深い諸室を隣接または機能を共有できるよう、多目的・可変的な建築設計を進めていく。あわせて、諸室にアクセスしやすい動線設計も検討していくとした。

 諸室の想定床面積については、合計で1000平方m程度にすると試算。内訳は、交流機能が180平方m、学習機能が560平方m、連携機能が70平方m、事務室が20平方m、共用スペースが170平方mとなる。施設は平屋と2階建ての2パターンを想定し、延べ1000平方mに設定した。

 また、広場スペースを設け、環境学習に利活用な屋外空間の配置を検討する。駐車場については、乗用車20台分に加え、大型バス3台分と駐輪場を確保していく。

 管理運営計画では、施設の維持管理は県環境保全事業団が担当する。運営体制は事業団が運営の一部、またはすべてをNPOや公益法人に委託する方式が提案されている。今後は設計段階で、各運営方式の特徴や事業の継続性を含め、最適な運営方式を検討していくとした。

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