神立病院移転で覚書 稲吉2丁目地内の用地活用(かすみがうら市)

[2023/6/14 茨城版]
 かすみがうら市は稲吉南2丁目地内の用地約2万8000平方mの土地利用について、公共利用から民間活力を活用した土地利用への転換を図ることを明らかにした。これは、医療法人社団青洲会神立病院から当該地の約2万平方mを活用したいという申し出を受けてのもの。5月19日には市と神立病院で、基本協定書の締結に向けた覚書を交わした。今後は、11月末までに基本協定を締結する見通しだ。誘致が実現すれば、市内で初の大型病院の立地になるという。残る8000平方mの敷地の取り扱いについても、市は民間活力を活用した土地利用の可能性を検討するとした。

 稲吉南2丁目の用地は当初、複合交流拠点施設を整備するために22年度に取得した。この施設は窓口機能の移転とサービス拡充、都市計画道路神立停車場線沿線区域へのコミュニティ機能の新設などを理由に整備を行うもの。また、敷地内には防災機能を有した公園も整備する計画であった。

 22年7月の市長選では、計画の見直しを公約に掲げる宮嶋謙市長が当選した。これを受けて、中止を含めた計画の見直しを実施。その結果、複合交流施設整備は計画を進めるが、建設地をより市街地に変更することを決定。また、購入した用地については、にぎわいを創出する公園として整備していく方向性を示していた。

 その後、神立病院から当該地の約2万平方mを病院移転に活用したいという申し出があった。これを受けて市では、土地利用の方針について、公共利用から民間活力を活用した土地利用へ転換を図ることを決定。そのため、当該地で予定していた公園整備は、実施しないことになった。

 民間活力の利点として市は、▽病院の市内立地による市民の医療水準の向上や周辺土地における民間事業者による賑わいの創出など、地域活性化や発展につながる▽中長期的な市の負担がなくなることにより、健全な財政運営が図られる▽土地貸付による貸付料収入や建築などの固定資産税の収入が見込める──などを挙げる。

 神立病院は、土浦市神立中央に位置し、1982年に開設。病床数は一般病棟60床、医療療養型病棟53床、回復期リハビリテーション病棟47床の合計160床となる。

 5月19日には市と神立病院で、今後の基本協定書の締結に向けた覚書を交わした。今後は、11月末までに基本協定を締結する見通し。整備スケジュールや開院時期については、未定としている。

 残る8000平方mの用地についても、市は民間活力の活用を想定する。現時点では、具体的な内容は決定していないが、これから土地利用の可能性を検討していく。

 なお、複合施設の整備については昨年度、第一候補地に稲吉4丁目地内にある稲吉ふれあい公園を選定した。新施設の機能については、図書館や多目的ホールなどを想定する。それ以外の機能ついては、地域住民の意見を反映しながら決定していくことになる。整備手法についても決定しておらず、公設公営からPFIまで幅広く検討する。

 今後は基礎調査を実施し、建設地や機能、規模、事業手法などをまとめる。ただし、現時点で基礎調査の実施時期は未定だという。

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