物価上昇で工事費増額 新庁舎の基本設計まとまる(宮城県 気仙沼市)
[2023/6/10 宮城版]
新庁舎は田中177他の敷地に移転新築する。敷地面積は約2.7ha。市立病院があった場所で、現在は西松建設(北日本支社・仙台市青葉区)・丸本建設(気仙沼市)特定JVの施工で旧病棟の解体工事を進めている。
敷地は高低差があるため、最小限の切土で来庁者の進入路を整備するほか、一部にテールアルメ擁壁などを設ける。庁舎西側と北側には計176台の駐車場を配置し、南側からはスロープ状の進入路で来庁者が車によって出入りできるようにする。この進入路上には高架を設置して歩車を分離する。
新庁舎棟は準耐火建築物で、制振部材(オイルダンパー)を地上各層に配置した付加制振構造を採用する。地上階の平面形状は約46×48mのほぼ正方形で、6.2mと7.8mグリッドを基本としたスパン構成となっている。地下1階は南に張り出す形となる。建物の高さは約22m。
平面計画を見ると、地下部分に面する形で外部に「まちかどひろば」を設け、そこから階段状の「まちかどステップ」やスロープ状の「まちかどテラス」で1階部分とつなぐ。庁舎棟内の地下1階には「まちかどギャラリー」、1階にはエントランスホールや市民ラウンジ、執務室を配置する。
2階と3階には執務室や会議室などを置き、4階を議場とする。屋上には太陽光パネルの設置を想定。2~4階の中央部分は吹き抜けとする。
外観のコンセプトは涼風にはためく旗(大屋根)で、海に向かって市民と行政が共に前進する姿を表現する。市民利用フロアとなる地下階や1階はガラス貼りによる大開口とし、前面の交差点側に対して開放感のある構成とする。2~4階の外装は押出成型セメント板の採用を計画している。
内装は天井材や床、サッシなどを木質化する。執務エリアは無天井化、床吹き出し空調とする。議場は地域産材を使用した温かみのある空間とする。
このほか、地中熱の空調熱源利用、雑用水貯留槽、直射光を遮蔽するライトシェルフ、高断熱Low-E複層ガラスなどを採用し、ZEB-Ready庁舎を目指す。
事業費は99億8000万円を試算。内訳は新庁舎の新築工事費が58億1000万円、外構工事費が3億5000万円、造成工事費が10億7000万円、旧病院の解体工事費が15億6000万円など。
新築の基本・実施設計業務は久米設計(東京都江東区)・国際航業(東京都新宿区)設計JVが担当。これから実施設計を作成し、来年6月末までにまとめる。
市は9日の新庁舎建設調査特別委員会で、基本設計の概要を議員に説明した。