年度内に基本計画 新防災教育施設 総合運動公園内へ整備(栃木県危機管理課)
[2023/6/10 栃木版]
県危機管理課は、新防災教育施設の基本計画の策定スケジュールなどを県議会に報告した。基本計画での検討内容は、総合運動公園内の整備場所や整備内容、整備期間などの事項で、11月にかけて3回の検討委員会を開催し、基本計画の素案を策定した後、パブリックコメントを経て2024年3月の計画策定を目指す。なお、基本計画策定支援業務は公募型プロポーザルで丹青社(東京都)に委託しており、24年3月22日までの期限で業務を履行する。
県は本年1月に地域防災計画を改定し、県内外の大規模災害時の的確な被災地支援の機能と、地域住民が適切な避難行動等を行えるように平時からの防災にかかる学習・教育機能を兼ね備えた「総合防災拠点」について、必要な整備を図ることを位置付けた。
この施設は広域災害対策活動拠点や広域物資拠点にも位置付けられ、各種防災機能を有する。また、県央部に位置して、県内全域をカバーできる県総合運動公園を総合防災拠点とし、機能は▽備蓄機能▽救援物資の集積拠点機能▽応援部隊の活動拠点▽機能ヘリの離着陸機能-のほか、現在、総合運動公園内に機能がない学習・教育機能も盛り込む。
スケジュールによると、基本計画検討委員会の6月の第1回委員会で基本計画の方向性、9月の第2回委員会で基本計画の概要を検討して、11月の第3回委員会で基本計画の素案を策定。12月にパブリックコメントを実施して、24年2月の第4回委員会で基本計画案を策定し、翌3月には基本計画としてまとめる。
近年の大規模災害の教訓を踏まえて、住民主体の防災対策の強化や子どもの頃からの防災教育と防災リーダーの育成、適切な避難行動を実現するための地区防災計画の策定に加え、気候変動に適応した流域治水など事前防災の取り組みを強化や、防災教育の必要性が高まっている。
また、宇都宮市中里町にある現在の防災館は、地震・大雨・大風などの災害体験装置に災害時への備えや避難行動を考えさせるストーリー性がないことや、開館から31年が経過して体験型装置の耐用年数を超過していること、さらには来館者数も伸び悩んでいることなどを踏まえて、県は新たな防災教育施設を整備することとした。
建設予定地は、首都直下地震発生の可能性や気候変動による災害の頻発・激甚化を踏まえ、県内外の大規模災害時の被災地支援や平時からの防災学習・教育の機能を兼ね備える総合的な防災拠点として、利便性が高く県内全域をカバーできる県総合運動公園内を位置付けた。なお現防災館は、新防災教育施設の供用開始時に供用廃止する。
新たな施設では、すべての県民が災害時に迅速かつ適切な避難行動をとることができるよう、県民の防災意識(自助・共助)をさらに高めることで「逃げ遅れ人的被害ゼロ」の実現を目指す。
また、物資集積場所やマンホールトイレの見学といった総合防災拠点の他の機能と連動した学習効果の向上や、災害の怖さ・避難行動を疑似体験できるVRなどの先進技術を活用した装置の導入等によるストーリー性のある実践的な学習を実現するとしている。