TX県延伸で支援を 県の中央要望 圏央道の4車線化求める
[2023/6/10 茨城版]
県はこのほど、24年度の「国の施策および予算に関する提案・要望」(中央要望)を取りまとめた。2日には都内で本県選出の国会議員に対して内容を説明するとともに、意見交換を実施。その後、大井川和彦知事は関係省庁を訪れ、斉藤鉄夫国土交通大臣らに要望書を手渡した。今回の要望では、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けた施策46項目を盛り込んだ。このうち、7項目を重点項目に位置付けた。また、建設業関係では、TXの県内延伸に対する支援や、圏央道の26年度までの全線4車線化、東関道水戸線の25-26年度の全線開通などを要望している。
この要望活動は国の施策および来年度予算編成にあたり、予算措置や政策・制度の創設・改正などについて、県の要望を盛り込むために実施するもの。毎年、概算要求前の6月に関係省庁へ要望活動を行っている。
中央省庁への要望に先立ち、2日には本県選出の国会議員に対し、大井川知事らが提案・要望の内容を説明。議員からの意見を求めるとともに、実現に向けて支援と協力を求めた。
あいさつに立った大井川知事は急速な人口減少やAIの飛躍的な進歩など、先の見えない非連続の時代であることに触れ、県では「挑戦」「スピード感」「選択と集中」を基本姿勢として、困難な課題も先延ばしすることなく取り組んできたと説明。続いて、中央要望の主なものとして、最低賃金の引き上げや農林水産物の輸入規制緩和、外国人材の受け入れおよび活躍促進などを盛り込んだことを紹介し、「これらの要望は、新しい茨城づくりの実現に向けて、大変重要な項目となる」と考えを示し、引き続きの支援を求めた。
関係省庁への要望では、国土交通省の斉藤大臣をはじめ、厚生労働省の伊佐進一厚生労働副大臣、経済産業省の長峯誠経済産業大臣政務官、農林水産省の横山紳農林水産事務次官、法務省の齋藤健法務大臣のもとを訪れ、それぞれ要望書を手渡した。このうち、国土交通省に対しては、広域交通ネットワークの強化・充実の要望を行った。
要望内容をみると、項目数は46項目となった。このうち、新規が5項目、一部新規が12項目となる。重点項目には、▽成長産業・分野への円滑な労働移動の促進および最低賃金の引き上げ▽農林水産物等の輸入規制等に係るアジア諸国等との協議推進▽医師等医療従事者の確保▽高病原性鳥インフルエンザ防疫対策に係る財政措置等の見直し▽民間獣医師の活用に向けた制度見直し▽地方における外国人材の受入および活躍促進▽広域交通ネットワークの強化・充実──を盛り込む。
建設業関連の要望をみると、「広域道路ネットワークの強化・充実」と「我が国の国際競争力を牽引する港湾の整備」、「地方への人の流れを加速する都市鉄道ネットワーク強化」の3項目を盛り込んだ。
広域道路については、東関道水戸線と圏央道、直轄国道の整備を要望。このうち、東関道水戸線では、県内で唯一、高速道路の未開通区間であると説明し、25-26年度の全線開通を求めた。あわせて、鹿島港を核とした鹿島臨海工業地帯への道路計画の具体化も要望した。圏央道については、26年度までの全線4車線化を求めた。
直轄国道については県内の4車線化率が35%であり、慢性的な渋滞で走行速度が低下していることを説明。そこで、高速道路を補完する直轄国道やスマートICなどの整備促進を要望している。
港湾の整備では、岸壁と防波堤の早期整備に加えて、カーボンニュートラルポート形成の取り組みを求めた。
岸壁と防波堤の整備では、課題として貨物需要の増加や船舶の大型化、洋上風力発電に係る基地港としての役割、船舶の安全性と効率的な荷役のための静穏度向上を挙げた。そこで、茨城港常陸那珂港区での基幹産業の競争力強化や、鹿島での新産業の創出に向けて早期整備を要望した。カーボンニュートラルポート形成の取り組みについては、荷役機械の電化や倉庫などへの太陽光パネル導入に伴う建物の補強などで財政支援の拡充を求めている。
鉄道ネットワークの強化では、TXの県内延伸に対する支援を要望した。県では現在、県内延伸に向けて、パブリックコメントを実施し、6月下旬にも延伸方面を決定する状況にあると説明。そこで、国に対して、実現可能性の強化や磨き上げを行う際、法制度や技術面の観点からの協力と助言を求めた。あわせて、国土形成計画への位置付けや、将来の整備に活用できる財政的な支援メニューの助言についても言及している。
このほか、TX東京延伸の早期実現に向けた支援や、地下鉄8号線の県内延伸の前提となる、押上からの延伸の早期実現に向けた支援なども盛り込んだ。