年度内に建設地決定 複合文化施設 基本構想案を公表(石岡市)
[2023/6/7 茨城版]
石岡市が進めている複合文化施設の整備について、基本構想案がまとまったことが分かった。構想案によると、施設にはホール機能を盛り込む。それ以外の機能は、ゼロベースで再度検討していくことになる。なお、施設の規模は、前回の計画よりコンパクトになる見通し。建設候補地は、従来と同じく、いしおかイベント広場と鹿島鉄道跡地、市営駅東駐車場を挙げた。基本構想案は、6日からパブリックコメントを実施し、市民の意見を踏まえたうえで決定する。その後、23-24年度の2カ年で基本計画を策定。なお、本年度中にも建設場所と機能、事業手法を決定する予定だ。
複合文化施設整備は、老朽化を受けて閉館した市民会館の移転改築を行うもの。昨年度の計画によると、整備の際には、市民会館と中央図書館を複合化し、それらの機能を核とした複合施設として整備するものだった。建設候補地については、石岡駅東地区を選定。概算事業費は約122億円と試算し、事業手法にはPFIを活用することを想定していた。
しかし、議会からは建設場所や事業手法の選定に関する疑問をはじめ、概算事業費が高額であることなどに触れ、事業を慎重に進めていくことが提案されていた。これを受けて市では、22年度にまとめた基本計画案を取り下げ、再検討を行うことになった。
再検討を実施する際には、前回の計画では策定していなかった基本構想から着手した。昨年秋には内部で検討委員会を立ち上げ、協議を開始。このほど、基本構想案がまとまり、公表する運びとなった。
基本構想をみると、基本理念に「新たな活力で、輝く未来へ、『文化』『ひと』『地域』の交流拠点」を掲げ、地域文化をはじめとするあらゆる文化・芸術を継承、交流、発信する文化拠点であるとともに、人々が集い、互いに絆を結ぶ交流拠点を目指していくとした。また、基本理念の下に基本方針として、▽身近な文化・芸術の拠点づくり▽あらゆる「ひと」に開かれた空間と交流の拠点づくり▽賑わいを生み出す拠点づくり▽時代のニーズに柔軟に対応できる空間づくり──を盛り込んだ。
新施設にはホール機能を盛り込むことを明記。その際には、近隣自治体の類似施設と差別化し、市のシンボル感や存在感、個性を持たせることで、県南地域で特色あるホールを目指していく。
ホールの客席数については、旧施設の規模である968席を踏まえつつ、旧施設の利用状況や新施設で想定する実施事業などを考慮しながら、適正な規模を検討するとした。なお、実施事業では、鑑賞型事業や普及・啓発・育成型事業、参加型事業などの内容を議論していくことになる。
ホール機能以外の施設機能については、ホール機能との相乗効果や、利用者の利便性向上などを踏まえて検討するとした。なお、施設機能と規模は、基本計画の中で決定していく。
建設候補地は、前回の計画から変更はなく、いしおかイベント広場(約2万7500平方m)と鹿島鉄道跡地(約7700平方m)、市営駅東駐車場(約6900平方m)の中から決定することになる。このうち、いしおかイベント広場では埋蔵文化財の試掘調査、鹿島鉄道跡地では地盤改良工事などを行う必要があるという。そこで市は、各候補地の課題を踏まえながら、基本計画の中で最終決定を行う方向性を示した。
事業手法は、前回のPFI方式の採用を見直し、公設公営を含めて再検討を行う。その際には、財政負担の軽減を図り、効果的かつ効率的に施設整備を進めていく必要があると指摘。民間活力の活用やコスト削減、事業期間内での施設完成などの視点から総合的に検討していくとした。
新施設の完成時期については、交付金などの関係から、遅くとも30年度中の完成を目標に掲げた。ただし、市では市民からの早期完成という要望に対応するため、早期の完成に向けて迅速に取り組む考えだという。
今後は市民の意見を踏まえたうえで、7月中に基本構想を策定する。その後、23-24年度の2カ年で基本計画を策定する。現時点では24年2月にも建設場所と施設機能、事業手法を決定する予定となる。なお、基本計画の委託料は、順調にいけば、9月補正で計上する見通しとなる。