水道広域化を検討 主要事業 ひたちなかに新工業団地(県企業局)
[2023/5/23 茨城版]
県企業局の当初予算は支出の部で、水道用水供給事業が348億8076万円、工業用水道事業が211億9448万円、地域振興事業が472億1045万円の合計1032億8570万円となり、前年度から367億1616万円の増加となった。主な事業では、水道事業の広域連携に向けて検討を進めるほか、ひたちなか地区で新工業団地の整備に着手する。このほか、県南西広域水道用水供給事業の統合による管路の整備や、フロンティアパーク坂東と圏央道インターパークつくばみらいでの造成工事、霞ヶ浦浄水場への新たな高度浄水処理施設の整備などを進めていく。
事業執行方針は、人口減少により水需要が減少し、経営環境が厳しさを増す中、県民のライフラインである水を安定的・継続的に供給するとともに、企業立地などによる地域振興を図ると定めた。具体的には「企業局経営戦略」を踏まえて、▽水道事業の経営基盤強化に向けた広域化などの推進▽安定的に工業用水を供給できる事業環境の整備▽デジタル化の推進と新技術の導入▽大規模災害に備えた危機管理対策の強化──を方針として定め、事業を推進していく。
このうち、水道事業の経営基盤強化に向けた広域化などの推進では、水道事業の広域連携を進めていく。事業費には検討・調整会議や水道基盤強化計画策定への参画などに6673万円を確保した。県では広域連携に向けて、経営統合(経営の一体)を25年度以降に進めることを目標に設定。スケジュールは、本年度に検討・調整会議を設置して検討を進める。24年度からは、統合に関する基本協定の締結と水道基盤強化計画の策定を行う見通しとなっている。
県南西広域水道用水供給事業の統合による施設などの整備では、管路の実施設計や整備、増圧ポンプ場の実施設計委託料に16億9257万円を投じる。この事業は県南西地域の水需要の過不足を緩和することを目的に、県南地域から県西地域への水融通に必要となる施設整備を行うもの。具体的には水融通に係る管路やポンプ場の新設、更新などを実施していく。対象は県南・県西地域の18市4町1村。計画期間は本年度から20年度までの10年間とし、概算事業費は102億6800万円と試算している。
このほか、鹿行広域水道用水供給事業における浄水場の適正配置などの検討に1億6000万円を計上した。この事業費は、鹿島浄水場における浄水施設改築のための実施設計委託料となる。
新たな工業団地の整備などによる地域振興では、ひたちなか地区で新工業団地の整備を行う。本年度は造成事業の基本・実施設計などに7100万円を予算化した。この事業はひたちなか地区に県施行で新たな工業団地を整備するもの。対象地はひたちなか市新光町地内の常陸那珂工業団地に隣接する敷地約23ha。分譲面積は約22haを予定する。総事業費は約68億円と試算した。年度内に基本・実施設計などをまとめ、24年度からの着工を目指す。
県施行の新たな工業団地ではこのほか、フロンティアパーク坂東と圏央道インターパークつくばみらいの整備も進める。このうち、フロンティアパーク坂東では、造成工事費などに62億5520万円を確保。整備場所は猿島カントリークラブ北側の用地約73haで、分譲面積は約59haを予定する。総事業費は約194億円に設定。本年度から造成工事に着手し、土地の引き渡しは25年度前半を予定している。
圏央道インターパークつくばみらいでは、造成工事費などに3億2406万円を計上。整備場所はつくばみらい市福岡地区に位置し、面積は約70.3haで、分譲面積は約60.5haとなる。昨年度に引き続き造成工事などを実施していく。
このほか、江戸崎工業団地第5号画地の造成工事費に5964万円を予算化するほか、市町村と連携した工業団地の立地企業に対するフォローアップも進める。
デジタル化の推進と新技術の導入のうち、霞ヶ浦浄水場への新たな高度浄水処理施設の整備では、オゾン促進酸化処理施設の整備に10億7578万円、高速ろ過池の整備に5億0538万円を投じる。導入する新たな技術の名称は「オゾン促進酸化処理」方式。これはかび臭気原因物質そのものを、オゾンと過酸化水素の強力な酸化分解力で、完全に分解するもので、この技術を導入した施設は全国で初となる。全体事業費は約98億9000万円と試算した。本年度末には一部の施設が完成する予定。また、本年度から2期施設として後砂ろ過池の整備に着手する。
大規模災害に備えた危機管理対策の強化では、管路の耐震化や広域水道間のバックアップ体制の強化、老朽化施設の改築・更新などを行う。このうち、管路の耐震化には35億5288万円を計上。この事業は24年度までに管路326.5kmの耐震化を行う。全体事業費は641億4500万円に設定。進捗は56.4%となっている。
広域水道事業間のバックアップ体制の強化には1億9500万円を予算化した。この事業は水戸浄水場-鹿島浄水場間を連携する緊急連絡管の整備を行う。全体事業費は17億1100万円となり、進捗は78%となっている。
このほか、老朽化施設の計画的な改築と設備更新として、涸沼川浄水場の設備更新に3億6111万円、鹿島浄水場の中央監視制御設備更新に8億8346万円、水海道浄水場の設備更新に係るバックアップ施設の整備に4億3806万円を配分した。
安定的に工業用水を供給できる事業環境の整備では、新たな需要に対する施設整備を推進する。主なものでは、県央広域工業用水道事業における常陸那珂工業団地への配水管整備に9億7000万円、県南西広域工業用水道事業における圏央道インターパークつくばみらいへの配水管整備に8億3170万円を確保している。