管路耐震化を推進 下水道事業 県央浄化センターで1系列増設(栃木県都市整備課)
[2023/5/20 栃木版]
県都市整備課は下水道事業で、本年度の事業費に県分と市町分をあわせて131億2232万円を予算化した。このうち県分は、社会資本整備総合交付金の通常分で7億5325万円、防災・安全分で11億0351万円の計18億5676万円を配分する。通常の下水道事業では、鬼怒川上流流域下水道の中央処理区の水処理施設1系列の増設工事などを引き続き進めていく。また防災・安全分では、下水道ストックマネジメント計画に基づく老朽化対策を推進するため、各処理区で管路施設の耐震化工事や各施設の老朽対策を実施する。
県が実施する流域下水道事業のうち、通常の下水道事業では鬼怒川上流流域下水道の県央浄化センターで水処理施設の増設工事などを実施する。この施設は宇都宮市と下野市、上三川町の下水を処理するため1986年度に供用した施設で、2026年度には流入水量が現在の処理能力を上回る見込みのため、水処理施設を増設する。
今回増設するのは6系列目で、これにより処理能力は1日6万4500立方mから7万7400立方mに増強される。事業期間は20年度から25年度までの6カ年で、全体事業費には約29億円を見込んでいる。
基本・実施設計は20~22年度に日本下水道事業団へ委託しており、引き続き22年度末には同事業団に土木・建築工事を委託している。委託の内容は最初沈殿池工、反応タンク工、最終沈殿池の増設に係る土木・建築工事で、協定事業費は約19億円。なお24年度には、機械・電気設備工事の協定を同事業団と締結して、2カ年で整備する見通しとなっている。
防災・安全分では、下水道ストックマネジメント計画に基づく老朽化対策を推進する。このうち管路施設の耐震化は、鬼怒川上流流域下水道の上流処理区と中央処理区、巴波川流域下水道、北那須流域下水道、渡良瀬川下流流域下水道の大岩藤処理区と思川処理区でそれぞれ工事や設計を実施する。
県の流域下水道の幹線管渠には、マンホールと管渠の接続部が約3900カ所あり、このうち耐震性能を有していないのが1978カ所ある。県はこの中から、緊急輸送道路や避難路などに埋設されている431カ所を優先して耐震化を進めており、21年度末時点で221カ所(51%)が完了している。
管路の耐震化以外では、施設の老朽化対策や監視制御設備といった設備の更新などを実施していく。鬼怒川上流流域下水道の上流処理区では汚泥脱水設備更新工事、北那須流域下水道では監視制御設備更新工事、渡良瀬川下流流域下水道の思川処理区では間々田中継ポンプ場耐震補強工事を実施し、このほか各処理区で更新設計や耐水設計を策定する。
23年度の流域下水道実施計画の概要は次の通り。
【社会資本整備総合交付金(通常)】
▽鬼怒川上流流域下水道(中央処理区)=水処理施設増設工事、流域別下水道整備総合計画策定
【社会資本整備総合交付金(防災・安全)】
▽鬼怒川上流流域下水道(上流処理区)=管路施設耐震化工事、汚泥脱水設備更新工事(機械・電気)
▽鬼怒川上流流域下水道(中央処理区)=管路施設耐震設計、管路施設耐震化工事
▽巴波川流域下水道(巴波川処理区)=管路施設耐震設計、管路施設耐震化工事、管理棟耐水設計
▽北那須流域下水道(北那須処理区)=管路施設老朽度診断、管路施設耐震化工事、監視制御設備更新工事、汚泥脱水設備更新設計、塩素混和池耐水設計
▽渡良瀬川下流流域下水道(大岩藤処理区)=管路施設耐震設計、管路施設耐震化工事、沈砂池ポンプ棟耐震設計、汚泥脱水設備更新設計
▽渡良瀬川下流流域下水道(思川処理区)=管路施設耐震設計、管路施設耐震化工事、汚泥処理設備更新設計、間々田中継ポンプ場耐震補強工事、ストックマネジメント計画更新
▽下水道資源化工場=監視制御設備更新設計、汚泥運搬車更新