八千代エンジに委託 新最終処分場建設の実施設計(県環境保全事業団)
[2023/5/19 茨城版]
県環境保全事業団が新産業廃棄物最終処分場の実施設計について、八千代エンジニヤリング(東京都台東区)と随意契約を締結したことが分かった。契約日は4月28日で、契約額は税込1億4784万円となる。履行期限は24年3月31日に設定。本年度は実施設計の策定に加えて、年度末には本体工事にも着手する。供用開始時期は26年度末になる見通しだ。
この事業は県関与産業廃棄物最終処分場エコフロンティアかさまの継続施設として、新たな産業廃棄物最終処分場を日立市諏訪町地内に整備するもの。本県の産業廃棄物最終処分場は04年度以降、新規の設置許可がない状況にある。さらに、エコフロンティアかさまの埋立進捗は、近い将来にひっ迫することは必至となっている。そこで、県は新たな産業廃棄物最終処分場を整備することになった。なお、基本設計までは県資源循環推進課が担当し、実施設計からは県環境保全事業団が担当することになっている。
新最終処分場の概要をみると、埋立地の規模は約9.3ha、容量は約240万立方mとし、オープン型処理場で整備する。施設の受入計画量は年間15.2万t、埋立計画量は年間約10万立方mに設定し、埋立期間は20年から23年間程度を予定。敷地内には埋立地に加えて、浸出水処理施設や防災調整池、管理施設などを配置する。
このうち、埋立地の構造は準好気性埋立構造、方式は即日覆土によるセル方式を採用。浸出水発生量抑制のため、埋立地を南北2区画に分け、下流側(北側)から埋立を開始していく。
遮水工では、基準省令に基づく二重の遮水シートに加え、ベントナイト砕石や水密性アスファルトコンクリート、ベントナイト複合遮水ライナーによる多重の遮水構造を取り入れた。さらに、バックアップ機能として、漏水検知システムを設置する。
浸出処理施設の処理能力は1日あたり400立方m、調整槽容量は2万8000立方m程度とする。浄化処理後は下水道へ放流することになる。防災調整池の容量は3万5000立方m程度を予定している。
管理施設としては、▽計量施設▽展開検査場▽管理棟▽地下水モニタリング設備▽場内道路▽洗車設備▽待機所▽門・囲障設備──を配置する。
併設施設としては、環境学習施設を整備する。この施設では、資源循環に関する学習や、日立市と連携した体験学習と環境学習ができる施設を目指す。具体的な整備内容については、別途、県と日立市で検討しており、現時点で基本計画を策定した。学習施設の整備についても本年度から県環境保全事業団が担当することになる。現在は基本計画の内容を内部で検討しており、年度内にも基本設計に着手する予定だという。
概算建設コストは、既存文献などで示される費用関数や他の事例を参考にしながら、採用した各種安全対策については個々に積み上げ積算し、さらに、安全側の数値を採用することになった。その結果、概算建設コストは約230億円に設定している。
今後のスケジュールとしては、年度内に実施設計をまとめた後、本体工事に着手する。工事は4カ年で実施し、26年度末の供用開始を目指す。
新最終処分場の整備にあわせて、県では同施設に直結する新設道路の整備を進めている。新設道路の延長は約4km、幅員9mで計画。概算事業費は約120億円と試算した。あわせて、新設道路に接続する日立常陸太田線の整備も進める。工事内容としては、片側歩道整備や局部改良などを予定する。新設道路の供用時期は、最終処分場の完成に間に合わせる見通しとなっている。