26年度に実施設計 し尿投入施設の整備を決定(水戸市)
[2023/5/17 茨城版]
水戸市はし尿の効率的な処理体制について検討を実施した結果、従来の単独し尿処理施設ではなく、新たにし尿を下水道へ投入するする施設(以下、し尿投入施設)を整備することを決定した。今後は用地選定や下水道事業計画をまとめた後、施設整備に着手する。順調に行けば、26年度に実施設計と用地取得を行い、27年度から3カ年で工事を実施。新施設の供用開始は30年度になる見通しだ。10日に開催した市議会総務環境委員会で市が明らかにした。
市のし尿と浄化槽汚泥の処理については、下水道復旧率の向上や人口減少を受けて、処理量が減少している。さらに、見川クリーンセンターの老朽化も進行している状況にある。
そこで市は新たなし尿処理施設の整備にあたって、汚水処理の広域化・共同化を見据えながら、施設の必要敷地面積が小さく、建設費用の縮減も期待できる下水道への投入を前提としたし尿投入施設を基本として検討していくことを表明。なお、このし尿投入施設は、施設でし尿を脱水・希釈した後、公共下水道に放流する施設となる。
新施設の整備あたっては、これまで水戸地区と常澄地区、内原地区のそれぞれで実施してきたし尿処理を1カ所で行うこととした。これは合併前の枠組みでし尿処理を実施していたという背景がある。新施設の整備により、市内のし尿処理はすべて水戸市単独で行うことになるという。また、見川クリーンセンターについても、施設の処理能力が過大になっていることや、老朽化が著しいことから、施設の廃止に向けた検討を進めると方向性を示していた。
これを踏まえ、21年度からし尿投入施設の整備に向けて、計画処理人口や計画処理量などの基本事項や、建設予定地を選定するための地形、防災、インフラなどの立地条件の整理などを実施。さらに、下水道への投入を前提としたし尿受入れ施設と、見川クリーンセンターのような従来型施設との処理方式の比較検討も進めてきた。なお、これらの調査検討業務については、中日本建設コンサルタント(愛知県名古屋市)が担当した。
このうち、従来型施設との比較では、想定する処理能力を1日あたり100キロリットルに設定して検討を実施。従来型では総事業費を68億9000万円と試算した。内訳は建設費が34億6000万円、15年間の維持管理費が34億3000万円となる。また、新施設の整備には約5700平方mの敷地が必要としている。
一方、し尿投入施設では、総事業費を46億9000万円と試算。内訳は建設費が20億8000万円、15年間の維持管理費が26億1000万円とした。必要敷地面積については、約2700平方mとなる。
建設場所については、3地区分のし尿を収集・処理するため、新たに建設地を選定して整備を進めることになる。そのため、今回算出した建設費は従来型と比較するための目安の数値であり、この金額がそのまま事業費になるわけではないという。
今後のスケジュールとしては、本年度から用地選定と交渉、地元協議、下水道事業計画などに着手し、いずれも25年度までにまとめる。26年度には実施設計と用地取得を行う。工事は27年度から29年度までの3カ年で実施し、30年度の供用開始を目指す。
なお、見川クリーンセンターの取り扱いについては、施設を廃止することを決定。廃止時期は、し尿投入施設の供用開始にあわせる見通しだ。