[2023/5/16　栃木版]

　県砂防水資源課は、2023年度の砂防施設づくり事業の概要を明らかにした。本年度は砂防事業47カ所、急傾斜地崩壊対策事業27カ所などを計画し、事業費に19億0800万円を見込む。新規箇所は、県単事業で急傾斜の堀ノ内(那須町大和須)1カ所のみ。このほか補助事業では、砂防の桑原一号沢(宇都宮市石那田町)や山際沢・山際二号沢(鹿沼市下永野)、天頂沢(塩谷町船生)などと、急傾斜の山根IA(真岡市西田井)などを22年度補正で前倒しており、実質的に本年度から測量調査や設計に着手する。またダム施設保全事業は、警報設備更新など3カ所で9500万円を予算化した。

　砂防施設づくり事業は、土砂災害から生命や財産を守るため、土砂災害防止施設の整備(ハード事業)や土砂災害に関する情報の提供など(ソフト事業)を実施する。下流域のライフラインや重要交通網、高齢・障害者など要配慮者施設を保全するため、重要整備箇所として位置付けた箇所から優先度を考慮して対策を進めている。

　本年度は、砂防事業で47カ所を計画し、事業費10億1700万円を予算化した。木沢下(那須町簑沢)では用地補償や堰堤工、新屋敷三号沢(那須烏山市大木須)では堰堤工、天頂下沢(塩谷町船生)では地盤改良工を引き続き実施する。

　また急傾斜地崩壊対策事業は、地すべり対策を含め27カ所で事業を実施するため、7億7500万円を配分した。鮎田(茂木町鮎田)は防護柵工、山下A(栃木市岩舟町)は法枠工、神谷(足利市小俣町)は防護柵工などを計画する。このほかソフト対策事業として、看板設置や長寿命化調査などに1億1600万円を予定している。

　23年度の新規箇所は、急傾斜で県単事業の堀ノ内(那須町大和須)1カ所のみ。この地区は公共施設の大和須公民館や人家5戸を保全対象とし、23年度から27年度までの5カ年で延長400mの擁壁工を実施する計画で、総事業費は約3億円を見込む。

　このほか補助事業は、22年度補正で砂防7カ所と急傾斜2カ所を前倒して事業化しており、実質的に23年度の新規事業として測量調査や設計に着手する。このうち砂防事業は、利根川水系田川支流の桑原一号沢で23年度から5カ年で砂防堰堤1基を整備する。公共施設の桑原多目的研修集会施設や小来川文挟石那田線の延長230m、および人家5戸を保全するもので、総事業費は2億円を見込む。

　利根川水系永野川支流の山際沢と山際二号沢も、それぞれ5カ年で事業費1億5000万円を投じ、砂防堰堤1基を整備する。保全対象は、公共施設の山際多目的集会センターや栃木粕尾線、人家計63戸となる。

　利根川水系松川支流の天頂沢(塩谷町船生)は、23年度から5カ年で砂防堰堤1基を整備する。保全対象は公共施設の宇都宮大学付属演習林や国道461号の延長210m、人家11戸で、総事業費は2億5000万円を見込む。

　急傾斜地崩壊対策事業は、山根IAで23年度からの5カ年に2億5000万円を投じ、擁壁工延長230mを整備する。保全対象は、公共施設の西田井山根公民館や市道100m、人家9戸など。また城間I-Cは、避難場所の武茂体育館と人家1戸を保全するため、擁壁工延長100mを実施する。総事業費は1億円で、事業期間は23年度から27年度までの5年間とする。

　ダム施設保全事業は、西荒川ダムと塩原ダムのゲート設備更新、および松田川ダムの取水設備機側操作盤更新を計画し、事業費9500万円を予算化した。

　砂防事業の新規箇所は次の通り。(▽箇所名・所在地＝[1]全体事業内容[2]総事業費[3]工事期間)
【22年度補正】
〈砂防事業〉
▽桑原一号沢(宇都宮市石那田町)＝[1]砂防堰堤1基[2]2億円[3]23～27年度
▽山際沢(鹿沼市下永野)＝[1]砂防堰堤1基[2]1.5億円[3]23～27年度
▽山際二号沢(鹿沼市下永野)＝[1]砂防堰堤1基[2]1.5億円[3]23～27年度
▽天頂沢(塩谷町船生)＝[1]砂防堰堤1基[2]2.5億円[3]23～27年度
▽上瀬場沢(大田原市須佐木)＝[1]砂防堰堤1基[2]2億円[3]23～27年度
▽馬口沢(那珂川町大内)＝[1]砂防堰堤1基[2]1.6億円[3]23～27年度
▽矢竹沢(佐野市作原町)＝[1]砂防堰堤1基[2]3億円[3]23～27年度
〈急傾斜地崩壊対策事業〉
▽山根IA(真岡市西田井)＝[1]擁壁工、延長230m[2]2.5億円[3]23～27年度
▽城間I-C(那珂川町松野)＝[1]擁壁工、延長100m[2]1億円[3]23～27年度
【23年度】
〈急傾斜地崩壊対策事業〉
▽堀ノ内(那須町大和須)＝[1]擁壁工、延長400m[2]3億円[3]23～27年度