河川事業に10億円 那珂川・久慈川緊プロを推進(常陸河川国道)
[2023/5/16 茨城版]
国土交通省常陸河川国道事務所(日下部隆昭所長)は、本年度の事業概要をまとめた。河川事業と道路事業を合わせた総事業費は299億8300万円で、前年度当初比1%のマイナスとなった。内訳は道路事業が289億4700万円、河川事業が10億3600万円となっている。このうち、河川事業では、引き続き那珂川と久慈川の緊急治水対策プロジェクトを推進するほか、総合水系環境整備事業で那珂川のモニタリングを進める。
河川事業の内訳をみると、一般河川改修事業費として久慈川に4億7000万円、那珂川に5億5600万円を確保した。また、総合水系環境整備事業では、那珂川に1000万円を予算化している。主な事業では、「令和元年東日本台風」による久慈川水系と那珂川水系で受けた甚大な被害に対応するため、国や県、市町村が連携し、多重防御治水の推進、減災に向けた更なる取り組みの推進などの治水対策により、社会経済被害の最小を目指すプロジェクトを推進する。
那珂川緊急治水対策プロジェクトでは、事業期間を2年延長して19-26年度の8年間としたほか、事業費は約147億円を増額して総額約813億円(国約669億円、県約144億円)とした。内訳は災害復旧に約219億円、改良復旧に約594億円を投じる。現在は、河道掘削や遊水地、堤防整備などを進めている。
4月当初時点の進捗状況は、堤防工事(約12.8km)が30%、河道掘削工事(約160万立方m)が45%、遊水地工事が21%、霞堤工事が0%となっている。堤防工事では、中流区間(約4.4km)のうち、野口・下伊勢畑地区(常陸大宮市)が24%、下江戸・下圷地区(那珂市・城里町)が32%となり、下流区間(約8.4km)では、吉沼地区(水戸市)が0%、大野地区(水戸市)が70%、勝田・栄町地区(ひたちなか市)が10%となっている。23年度は、大野築堤や勝田築堤、吉沼築堤、下圷築堤、野口築堤、下境築堤と河道掘削などの工事を進める。
常陸大宮市と城里町で行う大場遊水地では設計が完了し、工事進捗率は21%。22年度には、遊水池の排水門新設工事(施工は三井住友建設)や排水門ゲート設備工事(施工は日立造船)、小場地区の周囲堤築堤工事(施工は清水建設)に着手し、23年度も引き続き工事を進めていく。
久慈川緊急治水対策河川事務所と共に進めている久慈川緊急治水対策プロジェクトでは、事業期間を2年延長して19-26年度の8年間としたほか、事業費も約297億円を増額して総額約647億円(国約631億円、県約16億円)とした。
久慈川では整備の目的に、▽多重防御治水の推進▽減災に向けた更なる取組の推進──を掲げ、本水からの越水防止を目指して、河道掘削や堤防整備、霞堤整備などを進めるほか、上流部や支川の浅川などの県管理区間では、国が権限代行により河道掘削、堤防整備などの治水対策を行っている。
4月当初時点の進捗状況は、国管理区間で河道掘削工事が約105万立方mのうち35%、堤防整備工事が約14.6kmのうち15%、用地補償が45%となった。権限代行区間では、河道掘削工事が108万立方mのうち12%、堤防整備工事が約18.2kmのうち21%、用地補償が45%となった。23年度は、辰ノ口築堤など、引き続き堤防整備や河道掘削などの改良復旧、霞堤の保全と整備、越水・決壊検知機器の活用による情報提供の迅速化などを進めるとしている。
このほか、総合水系環境整備事業では、那珂川戸多環境整備として、那珂市戸多地区のモニタリング調査などを予定している。