小川剛志都市整備局長就任インタビュー 都市計画の視点で“働く場づくり”に注力 (県土整備部)
県土整備部の都市整備局長に就任した小川剛志氏が本紙インタビューに応え、「県民が暮らしたい、暮らし続けたいと思うような魅力ある都市・まちづくりを進めていきたい」と抱負を語った。また、都市計画の視点で、成田空港や高速道路ネットワークを活かした“産業の受け皿・働く場づくり”に注力していく考えを示した。
──就任の抱負を。
「時代や経済状況の変化、激甚化する災害、多様化するライフスタイルに対応した都市づくり・まちづくりの方向性を示すため、千葉県都市づくりビジョンの策定を進めている。このビジョンに基づいた施策を、県民や市町村、民間企業とともに進めていきたい」
──重点的に取り組みたいことは。
「県内では圏央道など高速道路ネットワークの整備が進んでいるが、これまでの“ネットワークをつくる”ステージから、“ネットワークをつかう”ステージに移っていくことになる。インターチェンジ周辺などを活用して、“多様な産業の受け皿づくり”を進めていくことが重要だ」
「都市づくりビジョンでは、人口減少が進むなかで、経営的視点に立った、効率的で持続可能な都市づくり“マネジメント”の視点を導入した。市町村と連携しながら、都市機能の集約やインフラの広域化・共同化を進めていきたい」
「2025年度に都市計画の一斉見直しが予定されている。これまで1市町村1都市計画となっているが広域的な視点に立った、新たなマスタープランの策定に取り組んでいく」
「高速道路インターチェンジ等を活かした市町村のまちづくりを支援するため、本年度、都市計画課にまちづくり支援室を設置した。県庁全体でバックアップして市町村のまちづくりが進むよう支援体制を強化する」
──土地区画整理事業の進捗は。
「つくばエクスプレス沿線3地区、東京湾アクアライン着岸地1地区の計4地区で県施行の区画整理事業を進めている。これから完了時期を迎えるため、必要であれば、新たな県施行の区画整理事業の可能性を模索していきたい」
「区画整理事業は、関東大震災や東日本大震災の震災復興、東京大空襲の戦災復興でも活用された復興事業として大変有効な事業手法だ。これまで蓄えた技術力を伝承していくことも課題となっている」
──老朽化した公園整備をどう進める。
「今後、民間活力を導入し、魅力ある県立公園の再整備を進めていく。柏の葉公園では、公募設置管理制度(Park-PFI)を導入する。富津公園や蓮沼海浜公園でも再整備に向けた検討が本格化している」
──下水道の整備は。
「下水道の未普及地域を解消することが緊急の課題だ。江戸川第一終末処理場の整備を進める。また、下水道では電気料金の高騰の影響が大きいため、太陽光や消化ガス発電の導入を検討していきたい」
──建設業界に一言。
「災害発生時の応急対応や復旧で、建設業界にご尽力していただき感謝している。災害時だけでなく、平常時も清掃活動など地域貢献も大変ありがたい。これからも情報共有しながら、協力体制を強化し、一緒にまちづくりを進めていきたい」
■プロフィル
おがわ・たけし
君津市出身。1963年生まれ。88年3月長岡技術科学大学大学院工学研究科修了後、同年4月に入庁し、水道局や総合企画部、県土整備部などに勤務し、木更津区画整理事務所長や都市計画課長などを歴任。20年4月から県土整備部次長、本年4月から現職。都市計画の視点で街歩きをすることが趣味。好きな言葉は「人生開拓」。中世に生きた人々の生きざまを描いた「平家物語」を愛読している。