10者10作品決まる 建築文化賞 知事賞に梓設計を選定
[2023/4/18 茨城版]
県建築士事務所協会(舟幡健会長)は17日、「第36回茨城建築文化賞」(県建築士事務所協会主催、県建築センター・県建築士会・県設備設計事務所協会・県建設業協会協賛)の受賞者10者の10作品を公表した。このうち、知事賞は「たかはぎ認定こども園」を設計した梓設計が受賞となった。表彰式については5月19日に、水戸市のテラスザガーデン水戸で開催する同会の通常総会の中で執り行われる予定となっている。
建築文化賞は地域の周辺環境に調和し、かつ景観や機能的に優れている県内の建築物などを表彰することで、「文化の香り高い魅力あるまちづくり」に対する意識の高揚を図ることを目的に毎年実施している。36回目を数える今回は、24点の応募があった。
これらの作品を学識経験者や県土木部幹部職員、関係団体代表者らで構成する茨城建築文化賞審査委員会が厳正に審査を行った。1次審査で5作品を選出し、15日には2次審査として現地視察を実施。その結果を受けて、知事賞や議会議長賞、土木部長賞などを決定した。
このうち、知事賞を受賞した「たかはぎ認定こども園」は高萩市内に位置するこども園。施設の特徴として、廊下がないことが挙げられる。園児の主動線は半屋外の縁側となる。深い軒の縁側で園舎を包み込み、保育室へ縁側から直接のアクセスを可能とし、登園・降園の渋滞緩和、感染症対策の離隔・消毒スペースを確保した。また、縁側は雨天時の滞留スペースや運動会の観客席、夏の日影や雨天時の遊び場、多目的ホールとの屋内外の連携を可能にするなど、多岐にわたる活用が可能となる。
また、大屋根はL字型の中央の多目的ホールを頂点として、保育室へと気積がゆるやかに変化する。高さの変化する屋根を登り梁形式とし、建物周囲の高さを抑えながら、小屋組みのない最大限の内部空間を確保。棟木の代わりに鉄骨FBを使用し、棟木による圧迫感を軽減している。
アフターコロナ時代では、感染症対策として、十分な離隔スペースを求められているが、建築面積を増やすには限界があると指摘。そこで、主動線を半屋外化することで、アフターコロナ時代の拡がりと多様性のある園舎を目指したという。
以下、受賞者と受賞作品は次の通り。
【知事賞】
▽梓設計「たかはぎ認定こども園」
【議会議長賞】
▽三上建築事務所「日立市立日高小学校」
【土木部長賞】
▽日立建設設計 設計本部一級建築士事務所「日立オリジンパーク」
【茨城新聞社賞】
▽ボンドアーキテクツ「星乃珈琲店 守谷店」
【茨城県建築士事務所協会長賞】
▽若柳・大山設計JV「花やさと山サークルロッジ(石岡市ふれあいの森 宿泊棟)」
【住宅部門最優秀賞】
▽岩瀬卓也建築設計事務所「ひたちなかの平屋」
【住宅部門優秀賞】
▽カナザワ建築設計事務所「囲み庭のある家」
【入選】
▽久米設計「牛久市立ひたち野うしく中学校」
▽scale一級建築士事務所「就労支援事業所わーくるほーぷ」
【リフォーム賞】
▽吉田建築計画事務所「箱田の家 古民家再生工事」