本吉分署は26年度改築 10カ年の長寿命化計画(気仙沼広域行政組合)

[2023/4/13 宮城版]
 気仙沼・本吉地域広域行政事務組合(管理者・菅原茂気仙沼市長)は、公共施設等総合管理計画の個別施設計画(2023~32年度)をまとめ、ホームページに公表した。計画の対象施設は消防車両も含め21施設。このうち、気仙沼消防署本吉分署は移転新築に向け、2023年度に調査、24年度に用地取得や基本設計、25年度に実施設計、26年度に工事を行う予定になっている。

 個別施設計画は、施設の特性や維持管理・更新などに関する取り組み状況を踏まえつつ、施設ごとの状態を整理し、対策の優先順位を設けた上で、施設を長寿命化へ導くために策定する。計画期間は本年度からの10年間。

 主な計画対象の施設は、消防署の本部や分署、出張所、訓練塔、職員待機宿舎、リアス・アーク美術館など。建物以外では、消防救急デジタル無線、船舶(救急艇・浮桟橋)、消防車両も1つとしてカウントしている。

 計画では各施設の概要や、年度ごとの取り組み予定内容と対策費用を一覧にして整理している。10カ年の対策費用は計39億6060万円を試算している。

 気仙沼消防署本吉分署は、気仙沼市本吉町津谷松尾1-1に設けられており、建築から50年が経過して老朽化が進んでいる。既存施設の規模はRC造2階建て延べ314平方m。敷地も狭いことから移転新築を計画している。

 移転新築の費用は、設計費と工事費を合わせて1億5725万円を試算。ただし、これは既存施設の規模を基に試算した金額のため、新しい施設が現況よりも大きくなれば増える可能性がある。試算に当たっては2019年に南三陸消防署を建築した際の単価を参考にした。単価の変動次第でも事業費が変わる可能性がある。

 消防関連ではこのほか、気仙沼消防署大島出張所の建て替えや大規模改修などを25年度に検討する予定。計画では26年度で調査、27年度で基本設計、28年度で実施設計、29年度で建て替え工事を行う見通し。既存の大島出張所はS造一部木造平屋150平方mの規模。

 気仙沼・本吉広域センター防災消防本部と気仙沼消防署は、25年度に屋上防水や受水槽の改修、26年度に屋上防水と仮眠室の個室化、27年度と28年度に塗装工事など、29年度と30年度にアスファルト修繕など、31年度に内部間仕切りなどの改修、32年度にOAフロア化などを予定している。各年度の事業費はいずれも1000万円。

 高機能消防指令センターについては、登米市や石巻地区広域行政事務組合との共同運用に向けた施設整備を進める。石巻地区広域行政事務組合の消防本部(石巻消防署)に共同消防指令センターを設けることにしており、23年度で実施設計をまとめ、24年度から2カ年かけて工事を行う。

 消防車両は23年度と24年度に各1台、25年度に4台、26年度に8台を更新する見込み。

美術館を大規模改修

 リアス・アーク美術館は、公共施設等総合管理計画の個別施設計画に基づき、大規模改修する意向だ。改修時期は2027年度が空調設備、28年度がエレベーターとなっている。

 同美術館は所在地が気仙沼市赤岩牧沢138-5で、建物がRC造3建て延べ4601平方mの規模。1994年3月の竣工から28年が経過し、各所に経年劣化や老朽化が見られる。2021年度に行った建築物の定期報告では、外壁コンクリートのひび割れ、白華現象、外壁塗装の塗膜のふくれ、屋上防水シートの剥がれなどが指摘されている。

 このため、23年度に南面外壁の改修とコンセント類の修繕、24年度に高圧受電設備の改修、25年度に非常灯と東面外壁の改修、26年度に屋上防水の改修とシャッターの修繕を実施する計画。その後の大規模改修では、27年度の空調に2億3100万円、28年度のエレベーターに8800万円を試算しているが、事業費などが変更になる可能性もある。

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