青宿地区で堤防整備 事業概要 霞ヶ浦浚渫関連を推進(霞ヶ浦河川)

[2023/4/11 茨城版]
 国土交通省霞ヶ浦河川事務所(山本陽子所長)は、23年度の事業概要をまとめた。本年度の事業費は34億7100万円で、前年度当初から4.1%の増額となった。主な事業では、無堤部対策として青宿地区の堤防整備を行うほか、総合水系環境整備事業では霞ヶ浦浚渫関連工事やかわまちづくりで水辺整備事業などを推進する計画となっている。

 同事務所では、「霞ヶ浦沿岸地域の安全・安心」と「清らかで豊かな湖沼環境」に向けた各種事業を進めている。霞ヶ浦沿岸地域の安全・安心では、堤防未整備区間での堤防整備による浸水被害の防止のほか、堤防除草や河川管理施設の点検整備などによる霞ヶ浦の適正な管理を行う。清らかで豊かな湖沼環境に向けては、霞ヶ浦浚渫による浚渫土埋立地の返還に向けた整備や、北浦の水質浄化対策に係る調査検討と対策施設の設計、湖岸植生を保全・再生する自然再生地のモニタリング調査、湖岸堤防の側帯、緩傾斜・階段護岸整備によるリバースポットとしての利用環境の向上と地域の防災および活性化などを進める。

 これらに対する本年度予算は、河川改修費に3億6600万円(同5.2%減)、総合水系環境整備事業に15億1600万円(同25.8%増)、河川工作物関連応急対策事業に5000万円(同9.1%減)、受託工事費に5億7300万円(同22.7%減)を予算化した。

 このうち、河川改修事業では、無堤部対策として青宿地区で堤防整備を進める。対象は、陸上自衛隊武器学校のある霞ヶ浦右岸の青宿地区(阿見町)で、霞ヶ浦で唯一の堤防未整備区間となっている。工事発注見通しによると、「R5西浦右岸青宿地区特殊堤防整備工事」として第2四半期に一般競争入札で発注する。工事では延長約170mの特殊堤を整備し、発注規模は6000万円から1億円未満としている。

 総合水系環境整備事業では、霞ヶ浦浚渫関連工事や水辺整備事業などを計画する。霞ヶ浦浚渫事業は、入負荷量の増大などにより水質悪化を受けて浚渫により底泥からのリン・窒素の湖水への溶出を削減し、水質改善を図るもので、浚渫事業辞退は1992年から進めていた大規模浚渫工事が12年度までに完了した。その後は、稲敷市西の洲・甘田入地区の返還に向け、浚渫土を干拓地用の嵩上げとして再利用する工事に着手。16年度には、これまで実施していた小高地区の浚渫土埋立地返還が完了した。

 23年度は引き続き西の洲・甘田入地区の整備や、北浦の水質改善に向けた効果的対策の検討と設計、霞ヶ浦全体の流入河川汚濁調査と既設施設のモニタリングなどを行う。このうち、工事では、「R5甘田入地区基盤整正工事」として第1四半期に一般競争入札が予定され、鉛直ドレーン(約1万2000本)などを整備する。

 水辺整備事業では、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」と連携したかわまちづくり計画(21年3月に登録)と連携し、湖岸堤防に側帯を整備し、リバースポットとして利活用を図っている。計画では、湖岸堤防に側帯を整備し、平常時は利用者の休憩施設・トイレなどのリバースポットとして活用し、災害時は側帯の土砂を水防活動に利用することで、地域の防災力向上と観光客の増加などを図るとしている。国交省が側帯整備や緩傾斜・階段護岸整備を行い、沿川で組織するつくば霞ヶ浦りんりんロード利活用推進協議会では、誘導サインやサイクルスタンド、休憩施設・トイレ・案内看板などの整備を進める。

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