霞ヶ浦導水に53億円 事業概要 東関道水戸線整備を推進(関東整備局)

[2023/4/4 茨城版]
 国土交通省関東地方整備局は、23年度予算成立を受け、整備局管内の予算配分をまとめた。管内の配分事業費は1兆7224億円で、前年度当初(1兆7604億円)から2.2%のマイナスとなった。本県関係の主な直轄事業では、霞ヶ浦導水事業に52億9000万円を投じ、引き続き石岡トンネルの整備などを進めるほか、緊急治水対策プロジェクトでは、22年度の補正予算を含めて那珂川に83億7000万円、久慈川に45億円を確保し、引き続き河道掘削や堤防整備などを進めていく。道路事業では、東関道水戸線(潮来~鉾田)に198億円、牛久土浦バイパスに34億5000万円などを確保するほか、国道50号結城バイパスは今春にも開通し、国道6号小美玉道路(仮称)では引き続き事業化に向けた調査などを進めていく。

 事業費配分の内訳は、直轄事業に4630億円、補助事業に4676億円、交付金に7918億円となり、このほかにゼロ国債で465億円が配分されている。整備局所管事業の基本方針では、▽国民の安全・安心の確保▽社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大▽豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり──の3本を柱に、22年度の第2次補正予算と合わせて切れ目なく取り組みを進めていく。社会資本整備については、「総力」を挙げたストック効果の最大化や「インフラ経営」の視点に立った既存施設の計画的な維持管理・更新・利活用を図りながら、波及効果の大きなプロジェクト等を戦略的かつ計画的に展開するとしている。

 本県関係の主な直轄事業のうち、河川事業では、霞ヶ浦導水や緊急治水対策プロジェクトのほか、鬼怒川改修に16億7000万円、小貝川改修に12億6000万円、霞ヶ浦の利根川総合水系環境整備事業に15億2000万円を確保した。

 このうち、霞ヶ浦導水事業では、安藤・間の施工で2月から石岡トンネルの第1工区掘削工事に着手。石岡トンネルでは、残る3工区分のうち第4工区は2月に一般競争入札が行われ、錢高組が82億5812万円で落札した。このほか、第3工区と第5工区についても5月19日の開札が予定されている。この事業は、霞ヶ浦や桜川などの相互の水を行き来させることによる水質浄化と水不足の軽減、新都市用水の確保の3つを目的に計画。現在は、水戸立坑と霞ヶ浦の高浜機場(石岡市三村)を結ぶ石岡トンネル(約延長24.7km)の整備を進めている。事業期間は30年度までとしている。

 道路事業では、東関道水戸線(潮来~鉾田)や国道6号牛久土浦バイパスのほか、国道50号結城バイパスに3億3000万円、国道51号新宮橋架替に21億8000万円などを確保した。

 東関道水戸線(潮来~鉾田)の延長30.9kmでは、21年12月に行われた事業連絡調整会議において、25~26年度ごろの開通時期が示された。23年度も引き続き橋梁の上下部工事や函渠工事、改良工事、跨道橋工事などを進めていく。昨年3月に1.3km区間が2車線開通した牛久土浦バイパスでは、I期事業で調査設計や用地買収、II期事業で改良工事や橋梁上部工事、III期事業で調査設計と用地買収を進める。

 港湾事業では、茨城港常陸那珂港区国際物流ターミナル整備事業に5億円、茨城港常陸那珂港区外港地区国際海上コンテナターミナル等整備事業に6億円、鹿島港外港地区国際物流ターミナル整備事業に24億5000万円を確保した。

 このほか、23年度中の主な開通・完成予定では、国道50号結城バイパス(延長2.8km、結城市結城~筑西市布川)が今春にも開通。鹿島港では、鹿嶋市の外港地区国際物流ターミナル整備事業で、水深12m岸壁が延長200mで供用を開始する。

 道路調査の見通しについては、都市計画・環境アセスメントを進めるための調査として、国道6号小美玉道路(仮称)が予定されている。県内の国道6号の未整備区間については、交通の円滑化を図るため、関係自治体と確認した当面の進め方を踏まえ、都市計画手続きや概略ルート・構造の検討に向けた調査を進めていく。このほかの未整備区間については、鹿行南部地域への高規格道路アクセス向上のため、関係機関とともに基本方針の検討を進める。

 県内の新規補助事業箇所では、県河川メンテナンス事業(鉾田市内、事業費1億5000万円)や(仮称)千代田PAスマートIC関連のアクセス道路(かすみがうら市内、事業費4000万円)、県橋梁長寿命化修繕計画(筑西つくば線養蚕橋など、事業費57億6500万円)、根本地区の交通安全対策補助事業(常陸大宮市内、事業費2400万円)、都市構造再編集中支援事業(池の川総合公園周辺地区〔日立市、事業費15億7200万円〕、結城駅周辺地区〔結城市、事業費1億3800万円〕、神栖土合生活拠点地区〔神栖市、事業費8600万円〕)などが認められた。

 主要事業以外の取り組みでは、▽防災体制の強化、災害復旧の推進▽生産性向上や働き方改革の推進▽その他──などを掲げる。

 このうち、防災体制の強化や災害復旧の推進では、那珂川、久慈川などの管内4水系で取り組む緊急治水対策プロジェクトを推進する。生産性向上や働き方改革の推進では、23年度をインフラDXの「躍進の年」に定め、BIM/CIMや小規模ICTによりインフラ分野のDXを進める。このほか、CNPの形成へ洋上風力発電の導入に向けた港湾整備を進めていく。

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