構想路線の事業化検討 道路施策検討有識者懇談会 有料道路のあり方も諮問(栃木県土整備部)
[2023/3/23 栃木版]
県は県道路施策検討有識者懇談会を設置して、22日に第1回の会合を開いた。この懇談会は、道路施策の検討にあたって客観性・透明性などを確保するとともに、効率的かつ効果的な道路行政を推進することを目的とする。今後は年2~3回の会合を開き、県道路公社の管理する日光宇都宮道路や宇都宮鹿沼道路の今後の運営のあり方や、新広域道路交通計画の構想路線に位置付けた(仮称)つくば・八溝縦貫・白河道路および(仮称)北関東北部横断道路の事業化の検討などを議論していく考えだ。
懇談会の開会にあたり、県土整備部の坂井康一部長は「先日、国から示された新たな国土形成計画の骨子案では、国の基本構想としてシームレスな拠点連結型国土の構想が挙げられた。我々が昨年度策定した『とちぎの道路・交通ビジョン2021』と施策の方向性は概ね一致しており、ビジョンに示した広域道路ネットワークを実現していきたい」と述べた。
続けて「こうした中、ビジョンに位置付けた各施策の展開に加えて、時代に呼応した新たな道路施策の立案にあたっては、客観性・透明性を確保して実効性ある内容としていきたい」と話し、各分野の専門家からの忌憚のない意見を求めた。
座長には、委員の互選で根本敏則敬愛大学経済学部教授(交通経済学)を選任した。根本座長は「新たな国土形成計画の骨子案では、全国的に人口が減少する中、交通ネットワークを充実させて人口10万人程度の地域生活圏を形成させようという考え方が明らかになった。交通ネットワークの主な交通手段は高速道路と思われ、その意味ではこの懇談会は時宜を得ている。ここでの検討が、栃木県の将来の都市構造に大きな影響を持つと考える」とあいさつし、委員の協力を求めた。
この懇談会は、道路施策の検討にあたり客観性・透明性を確保するとともに、効率的で効果的な道路行政を推進することを目的に設置する。諮問の対象は、道路施策の方針決定にあたって検討プロセスの透明性、客観性、合理性、公平性の向上を図るため技術的・政策的な助言が必要な案件とする。
想定する案件は▽新広域道路交通計画の広域道路ネットワーク計画に位置付けられた路線で計画段階評価(構想段階)を実施する事業▽有料道路に関する国の許可手続きが必要な事業▽その他、担当課が有識者懇談会の意見を求めることが必要と判断する事業など-としている。
具体例として県は、構想路線の新規事集化に向けて市民参画プロセスを要する事業として(仮称)つくば・八溝縦貫・白河道路や(仮称)北関東北部横断道路を想定。このほか、県が実施する広域道路の事業手法の方針なども諮問する。
また、県道路公社が所管する有料道路の将来的な管理・運営に関する方針として、26年度に料金徴収期間の満了を迎える宇都宮鹿沼道路の橋梁耐震・4車線化に要する経費の確保手法や、日光宇都宮道路のサービス水準のあり方と道路施設のリニューアルに要する経費の確保手法も検討する。
有識者懇談会は、本県の道路や行政などに精通する学識経験者など7人以内で構成し、学識経験者の分野は土木(構造、岩盤)、政治学、経済学(交通、観光)、地元経済団体、道路利用者代表とする。このほか、国(関東地方整備局宇都宮国道事務所)がアドバイザーとして参加する。
今回は第1回の会合となることから、本県の道路の現状と課題について議論した。今後のスケジュールは、23年度にも有料道路の現状と課題について整理し、24年度前半に有料道路の今後の管理・運営のあり方について取りまとめる。その後は、新広域道路計画に位置付けた(仮称)つくば・八溝縦貫・白河道路や(仮称)北関東北部横断道路の検討に進み、ルートの比較検討や今後の進め方について議論する。