県民サービス向上へ インフラDX構想 具体的取り組みに21項目(栃木県技術管理課)
[2023/3/3 栃木版]
県技術管理課は、今後県土整備部が行うインフラ分野のDXの目指す方向性や取り組みの内容を示す「とちぎインフラDX構想」を策定した。目指す方向性は、「建設生産プロセスのあらゆる段階における効率化・高度化」と「インフラ分野の行政資料のデジタル化」を進め、生産性の向上や県民が利用しやすい環境を整備することで、県民サービスの向上を図る。具体的な取り組みに「防災・減災」で9項目、インフラメンテナンスで4項目、デジタルサービスで8項目を掲げ、特に防災・減災分野の取り組みを重点的に進める。
人口減少や少子高齢化に伴う担い手不足に加え、自然災害の激甚化・頻発化や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う新しい生活様式の導入など社会経済情勢が大きく変化しているなかで、インフラ分野もデジタル技術を活用した働き方改革や生産性の向上が求められている。
そのため県は、社会経済情勢の変化と複雑・多様化する県民ニーズに対応するため、インフラ分野でもデータとデジタル技術を活用し、社会資本や公共サービスをより良いものへと変革する。また、インフラへの県民理解の促進と安全・安心で豊かな生活の実現のため、官民が連携してインフラ分野のデジタルに関する知識を習得し、DXの活用により業務改善を図ると共に、建設業界や職員の働き方を変革する。
目指す方向性を実現するため、「防災・減災」「インフラメンテナンス」「デジタルサービス」の3分野に取り組む。「防災・減災」ではハード・ソフト対策が一体化となったインフラ整備のデジタル化を、「インフラメンテナンス」では河川や道路等の維持管理におけるデジタル技術の活用を、「デジタルサービス」では各種法令など手続きのデジタル化を推進する。
具体的な取り組みとしては、「防災・減災」で▽とちぎ地図情報公開システムの高度化▽ICT活用工事の促進▽水防に関する情報の自動配信化▽高水流量観測の効率化及び水位予測の精度向上▽土砂災害警戒情報システムの高度化▽河川の3次元点群データ取得と河川点検の効率化・高度化▽災害時における測量の迅速化▽道路施設点検の効率化・高度化▽維持管理データの高度利用化-の9つを挙げた。
このうち新たな取り組みとしては、水防に関する情報の自動配信化で国の発表情報を関係機関へ自動配信化し、県の水防警報などの発表を自動作成化することで、発出の遅れや誤送信の解消を図る。災害時における測量の迅速化では、UAVによる測量を実施して3次元点群データを取得することで、迅速かつ安全に被害規模の把握や被害箇所の図面を作成する。とちぎ地図情報公開システムの高度化は、災害リスクに関する情報に加えてインフラに関する情報(道路台帳付図、河川区域図等)を公開し、県民の知りたい情報を一目で分かりやすく表示する。
「インフラメンテナンス」では▽ダム点検・貯水池管理の効率化・高度化▽BIM/CIMの導入推進▽建築BIMの導入推進▽施設保全に要するデータの一元管理化-に取り組む。
新たな取り組みでは、BIM/CIMの導入推進で調査・測量・設計段階から3次元(BIM/CIM)モデルを導入し、その後の施工・維持管理の各段階で3次元モデルを連携・発展させる。建築BIMの導入推進では、新築をはじめ既存建築も3次元化(BIM化)し、改修履歴、定期点検結果を反映させ情報の一元化を図る。施設保全に要するデータの一元管理化では、県有施設の保全に関するデータをサーバで一元管理することで、改修工事や災害復旧時のデータ検索・参照の迅速化を図る。
また、「デジタルサービス」では▽とちぎ地図情報公開システムによる都市計画総括図・縦覧図の公開▽AIカメラを活用した渋滞状況解析及び情報発信▽電子申請システムの利用可能手続きの拡大▽無人自動運転移動サービスの導入検証▽QRコードを利用した都市公園情報の発信力強化▽河川区域図のデジタル化▽遠隔臨場の促進▽建設業許可、経営事項審査等の電子申請システムの構築-に取り組む。
新たな取り組みとしては、とちぎ地図情報公開システムによる都市計画総括図・縦覧図の公開で、各種台帳類(河川区域図、道路台帳等)や地図情報(都市計画図総括図、縦覧図等)をデジタル化するとともに、公開用GISで適時最新のデータを公開する。電子申請システムの利用可能手続きの拡大では、申請書に必要な図面類をオープンデータ化し、各種申請手続きをオンライン化する。