鹿沼インター地区で造成 経営評価委員会 水道の老朽施設更新(県企業局)
[2023/3/2 栃木版]
県企業局は1日、2022年度第2回経営評価委員会(委員長・池田裕一宇都宮大学地域デザイン科学部教授)を開催し、23年度当初予算案の概要を説明した。新年度は50年カーボンニュートラルの実現を目指し、引き続き脱炭素化に向けた施策を進めるほか、DX推進では水力発電所保守管理システムの本格運用に取り組む。また、水道事業の老朽化した施設の更新や、鹿沼インター産業団地の第2期分譲分の工事にも着手するほか、新たな団地開発も視野に入れる。各発電所の計画的な改修も行う。
新年度当初予算の編成方針は、20年度に改定した経営戦略に掲げる経営方針を踏まえ、50年のカーボンニュートラルの実現、デジタルトランスフォーメーションを推進し、経費削減につなげる。さらに、企業局の情報をSNSなどで積極的に発信しながら、公営企業の基本原則に資するよう編成した。
収益的収支は、収益が76億1000万円、費用が76億1400万円で、損益が400万円のマイナス。電気事業のみ風見発電所の全面改修事業の影響で2億2600万円のマイナスだが、他の事業ではすべて純利益を見込んでいる。
資本的収支は、収入が14億8700万円、支出が63億0700万円で差し引き48億2000万円のマイナス。全ての事業でマイナスとなっているが、損益勘定留保資金や建設改良積立金などの財源により補てんする。
事業会計別では、電気事業で販売電力量に18万0813メガワット時を見込む。主な実施予定事業は、風見発電所全面改修事業に8億2279万円、深山発電所大規模改修事業に8億9324万円、川治第一発電所主要機器内部点検修繕等工事に7億2210万円、足尾発電所渡良瀬取水堰予備発電装置更新工事に5780万円などとなる。
風見発電所全面改修事業(事業期間:16年度~23年度)は、主要機器の据付および外構工事などに8億1179万円、撤去費に1100万円を計上した。深山発電所大規模改修事業(同20年度~25年度)は、水車・発電機などの主要機器や、除じん機などの製作を実施するため8億9324.1万円を計上している。
水道事業は、北那須での年間供給水量で那須塩原市の供給減が見込まれ、若干のマイナスがあるほかは前年並み。工業用水道事業もほぼ前年並みを見込んでいる。
主な実施予定事業は、北那須水道事務所の薬品沈殿池コントロールセンター盤更新工事に2200万円、避雷針設置工事に3194万円、太陽光発電設備設計業務委託に1683万円、管理本館1階等照明設備更新工事に847万円、鬼怒水道事務所の薬品注入設備更新工事に7687万円、太陽光発電設備設計業務委託に2227万円、上水1系薬品沈殿池フロキュレータ更新工事に1986万円を計上する。
鬼怒工業用水道も、太陽光発電設備設計業務委託に489万円、薬品注入設備更新工事に1799.1万円を配分する。
鬼怒上水と鬼怒工水の薬品注入設備更新工事は、設置から20年(貯蔵槽36年)が経過し、夏季には気泡を原因とした薬品注入の不具合も生じていることから、機器の更新を実施する。23年度は薬品注入設備と貯蔵槽の製作を行い、25年度までに設備据付を予定する。
用地造成事業は、22年度当初と比べ収益的収支の収入額で19億7100万円、支出額で19億3700万円と減少したが、既存団地の分譲がほぼ完了したためで、新年度の分譲見込みは9.9ha、分譲収益は19億4354万円を計画している。
主な実施予定事業は、鹿沼市鹿沼インター地区用地造成事業に4億5500万円のほか、壬生町中泉地区用地造成事業に2億1600万円を計上した。鹿沼インター地区は第1期分を23年度に引き渡し、第2期分の造成に着手。24年度に予約分譲を開始し、25年度に引き渡しを目指す。
施設管理事業のうち、企業局全体の共通管理費を計上する経営総合管理事業は、ペーパーレス化を推進するため職員用パソコンなどの負担金増で若干増加している。賃貸ビル事業は賃貸収益、共益費ともに22年度から増加しているが、これは電気代などの経費増を転嫁したため。
またゴルフ場事業は、県民ゴルフ場クラブハウスリニューアル事業に4400万円を計上し、老朽化が進んだ衛生施設(トイレ等)の改修工事を実施する。内訳は、建設改良費が4070万円、撤去費が330万円となる。
このほか、企業局のカーボンニュートラルの取り組みとしては再生可能エネルギーの最大限導入に向けて、既設発電所の増出力・増電力量を図るほか、水道事業で太陽光発電の新規設置、マイクロ水力発電を検討する。企業局所有公用車のPHV車への更新や照明のLED化、本町合同ビルのESCO事業活用へ向けた調整なども実施する。
DX推進の主な取り組みは、会計業務の共通システムを利用した効率化を図るほか、水力発電所保守管理システムの本格運用に取り組む。風見発電所は、全面改修にあわせて各設備にセンサーを設置し、多様なデータを収集することで故障予測精度を向上させる。