駅北区画整に8億円 当初予算 白山小長寿命化を前倒し(取手市)
[2023/2/18 茨城版]
取手市(藤井信吾市長)は15日、23年度当初予算案の概要を発表した。一般会計の総額は過去最大だった前年度当初額を4.9%上回る409億1000万円となった。市長選の影響で骨格予算としたが、地域振興基金の造成や社会保障関連経費の伸びなどで過去最大規模を更新している。主な事業では、引き続き取手駅北土地区画整理事業や関連する市街地再開発事業、桑原地区整備推進事業を進めるほか、3月補正で前倒しする白山小学校長寿命化改良事業の第2期工事や放課後子どもクラブ建設工事などに着手する。新規事業では、高井小学校校舎の増築設計や旧取手一中体育館の耐震補強・大規模改修設計などを盛り込んでいる。
予算編成に当たっては、▽魅力ある都市空間づくり▽定住化促進▽少子高齢社会への対応▽将来を見据えた持続可能な教育──の4つの基本項目に位置付けた各事業を継続的に推進する。また、地球温暖化対策の推進にも重点を置き、「ぬくもりとやすらぎに満ち、共に活力を育むまち」を目指す予算にしたという。
一般会計に占める普通建設事業費は10億1142万円で、骨格予算のため政策的経費を省いたことなどから前年度当初比33.4%の減額となった。削除分については6月補正で肉付けを行う計画だ。一般会計と特別会計を合わせた総額は、前年度当初比4.8%増の674億3396万円。24年度の開通を目指すペデトリアンデッキ工事などの本格化などにより、前年度比71.1%増となった取手駅西口都市整備事業特別会計を中心に特別会計が増額したため過去最大規模を更新した。
基本項目ごとに主な事業を見ると、魅力ある都市空間づくりには、取手駅北土地区画整理事業に8億0114万円、取手駅西口A街区第一種市街地再開発事業に8540万円、桑原地区整備推進事業に4437万円、都市計画道路3・5・23号北敷・沼附線整備事業に5014万円などを計上した。
このうち、取手駅北土地区画整理事業では、24年度の開通に向けて駅前交通広場やペデストリアンデッキの整備を進めるほか、A街区(0.7ha)内の市街地再開発事業では、27年度末の竣工に向けて再開発準備組合による建築設計などを支援する。再開発事業は、大京・戸田建設JVが事業主体となり、駐車場や約250戸を予定する最大30階建ての再開発ビルを整備するもの。市が整備するペデストリアンデッキはこの再開発ビルに直結する計画で、市では都市計画手続きや組合設立の支援なども進めていく。
桑原地区整備推進事業では、24年度の都市計画決定と25年度の組合設立を目指して引き続き区画整理準備組合への支援を行う。この事業は、桑原周辺地区の約67.6haを対象とした土地区画整理事業で、大規模な商業・業務施設を核とした新たなまちづくりを行う。19年6月には事業化に向けた準備組合を設立し、事業協力者となったイオンモール・イオンタウンJVとともに事業を進めている。造成工事の着工は25年度ごろを見込んでいる。
定住化促進には、定住化促進住宅補助事業で4003万円、わくわく取手生活実現事業で2575万円を予算化。わくわく取手生活実現事業では、県と連携して東京圏からの移住者への補助を行い、子育て世代や市内就業者等の定住化をより一層促進するほか、起業を志す者への支援や起業文化の醸成に取り組む。
少子高齢社会への対応には、取手駅構内ホームドア整備事業に1億2000万円を確保する。22-23年度の継続事業で、新たに1番線と2番線ホームにホームドアを整備する。ホームドアについては、将来的に6番線まで全てのホームに整備する考え。
将来を見据えた持続可能な教育では、高井小学校校舎の増築設計に2400万円、白山小学校長寿命化改良事業で子どもクラブ分2億0718万円、3路線の通学路整備事業に1億4237万円を盛り込んだ。
高井小学校では、ゆめみ野地区の人口増加による児童数の急増、35人学級への対応で25年度以降の教室が不足すると見込まれるため、新たに校舎棟を増築する。23年度に実施設計、24年度に増築工事を行う。増築規模はRC造3階建て延べ約840平方m程度を想定し、合わせて既存校舎や給食室の改修工事を行う。
白山小学校長寿命化改良事業では、3月補正で第2期工事費7億7935万円を前倒し、新年度に校舎の増築などを行う。本年度の1期工事では、体育館の長寿命化工事や校舎棟2棟の解体工事などを実施した。第2期工事では、校舎棟の増築や一部校舎棟の長寿命化工事などを計画し、増築規模はRC造2階建て延べ約1700平方m程度を予定している。敷地内には、放課後子どもクラブを新築し、設計は白山小の事業と合わせて日総建(東京都渋谷区)がまとめている。建設規模はS造2階建て延べ約500平方m程度を予定し、内部には教室4クラスとトイレなどを整備する。着工は6月議会後の7月ごろを見込み、年度内の完成を目指す。
このほかの事業では、旧取手第一中学校体育館の耐震補強・大規模改修事業に実施設計委託料などで2210万円を予算化する。この体育館はRC造1291平方mで1971年に完成した。今後、社会体育施設として活用するため、耐震化工事と改修工事を進めていく。ふれあい道路では、改修による居住環境の整備向上に向けて事業費3155万円を確保する。