11年連続 労務単価が上昇 本宮城県は全職種平均4.7%増(国交省 3月から適用)

[2023/2/15 宮城版]
 国土交通省は14日、3月から適用する公共工事設計労務単価を公表した。有効標本が得られた50職種の全国平均単価は、前年3月比で5.2%増の2万2227円。11年連続の引き上げで、公表を開始して以来、過去最高を更新した。5%以上の伸び率は9年ぶり。本県の全職種平均は同4.7%増の3万0021円で、こちらも過去最高となった。

 本県の所定労働時間内8時間当たりの職種別単価は別表の通り。2022年3月から適用されている単価と比べると、特殊作業員が500円の増、普通作業員が1000円の増、軽作業員や鉄筋工が700円の増、造園工や運転手(一般)が600円の増、とび工が1200円の増、運転手(特殊)が900円の増など。

 単価の設定に当たっては、最近の労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映するとともに、必要な法定福利費相当額(個人負担分)や義務化分の有給休暇取得に要する費用、時間外労働を短縮するために必要な費用を反映した。

 このほか、元請企業から技能者に対して直接支給している手当を反映させた。下請企業を経由する手当は従前より反映している。新型コロナウイルス感染症を踏まえた特例措置は撤廃した。

 全国、本県とも必要な法定福利費相当額を加算するなどした2013年の改定から単価が11年連続で上昇。12年度比で見ると全職種の全国平均は65.5%増となる。

 今回5%以上の上昇を示した背景には、政府が賃上げを強く呼び掛け、事業者も担い手確保や物価高騰への対応もあってそれに応えてきたためと思われる。さらには予定価格を高く設定することで安値受注による競争を排除しようという意図もうかがえる。

 公共工事で広く一般に従事されている特殊作業員や普通作業員、とび工などの主要12職種に限って見ると、全国平均が同5%増の2万0822円となっている。

 単価設定に必要な公共事業労務費調査では、国交省と農林水産省所管の直轄・補助事業等のうち、昨年10月に施工中の1件当たり1000万円以上の工事を無作為に抽出。調査対象となる51職種の建設労働者等を選び、賃金の支払い実態を把握した。有効標本数は8万4609人だった。

 建築ブロック工については十分な有効標本数が確保できず、単価設置に至らなかった。さらに本県では、石工、山林砂防工、屋根ふき工も有効なデータが集まらず単価を設定していない。

 公共工事設計労務単価は[1]基本給相当額[2]基準内手当[3]臨時の給与[4]実物支給──で構成。事業主が支払う法定福利費や労務管理費、安全管理費などの必要経費は含まれていない。

 仮に労務単価が2万2227円の場合、事業主が労働者1人の雇用に必要な経費は3万1340円となることに留意する必要がある。

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