公共事業費に774億円計上 河川改良復旧へ136億円 県新年度予算案 子ども総合科学館改修に着手
[2023/2/10 栃木版]
県は9日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は9786億円で、前年度当初から300億円(3.0%)減少した。2年連続の減少となり、3年振りに1兆円の大台を下回っている。このうち投資的経費は、補助・直轄事業費が伸びた一方で単独事業費が減少したことで、全体としては0.6%減の1407億円となっている。公共事業費に国補・県単あわせて774億円を計上するとともに、足利高校整備事業費33億円や県立学校施設長寿命化推進事業費23億円、県庁舎等長寿命化推進事業費17億円、林業大学校整備費12億円、子ども総合科学館大規模改修費8億円などを予算化している。 =2面に主要事業の概要
歳入面は、企業業績の回復などに伴う法人関係税の増収などで県税が80億円増加するとともに、地方消費税清算金も106億円の増となった。一方、国の地方財政計画などを受け、地方交付税と臨時財政対策債があわせて91億円の減となるほか、税交付金や医療福祉関係費が増となるなど引き続き財源不足が生じたことから、県債の発行や県債管理基金の活用などで所要財源を確保した。
歳出面は、義務的経費で医療福祉関係費や税交付金などが増加したものの、退職手当や公債償還費が減となり、全体としては0.2%減の5338億円となった。その他の経費は、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催経費が皆減となるほか、新型コロナウイルス感染症対策経費が減少したことで、全体としては8.4%減の3041億円となる。
投資的経費は、河川改良復旧事業費が増加して補助・直轄事業費が2.6%増加したが、那須庁舎整備の完了で単独事業費が4.5%減少し、全体では0.6%減の1407億円となっている。
投資的経費のうち、国補公共事業費は前年度比6.3%増の625億円で、直轄事業費は0.8%増の56億円。災害復旧費は0.2%増加し、21億円を計上する。単独事業費のうち、県単公共事業費は3.8%増の149億円。内訳は、県単土木事業が4.0%増の143億円で、県単農業農村整備事業費と県単林務事業費は前年度と同様に3億円ずつ計上する。
特別会計は、国民健康保険が3.2%減少した影響で、9会計の総額が前年度当初比2.6%減の2181億6917万円となる。企業会計の資本的支出は、流域下水道事業会計で6.0%、電気事業会計が0.4%、水道事業会計で8.9%それぞれ増加したものの、用地造成事業会計が42.6%、工業用水道事業会計が20.2%、施設管理事業会計が30.0%減少し、6会計の合計は8.7%減の276億2100万円となっている。
新防災教育施設の基本計画策定
新年度の主な事業は、まず「安全・安心戦略」として、災害関連公共事業費に136億0400万円を計上し、甚大な被害を受けた河川で再度災害を防止するための改良復旧を進めていく。緊急防災・減災対策事業では、堆積土除去や調節池設置、急傾斜地対策、堤防強化などに30億円を盛り込んだ。
県立学校施設の長寿命化推進事業は23億2400万円を、県庁舎等長寿命化推進事業は17億7400万円を確保して、県立学校校舎や県有建築物などの計画的な改修を推進する。警察本部庁舎改修は、4カ年事業の完了に向け、本年度も15億0900万円を計上する。
快適で安全な道づくり事業費は、公共・県単事業費で63億5900万円を予算化し、通学路の歩道整備などを推進する。交通安全施設整備費は、信号機の新設・更新や標識・標示の新設・更新などに18億9700万円を計上する。
また新たに、新防災教育施設の基本計画を策定するため1200万円を予算化。県総合運動公園を大規模災害時の被災地支援機能と平時からの防災学習・教育機能を担う総合防災拠点に位置付け、施設整備に向けた基本計画を策定する。盛土規制法基礎調査事業も宅地造成等工事規制区域や特定盛土等規制区域の指定に向け、3500万円を確保して土地利用状況の把握や規制候補区域の抽出を行う。
「地域・環境戦略」は、県庁舎周辺整備検討事業費に1000万円を計上し、県庁舎周辺の県有地の利活用に向けた民間活力導入の市場調査を実施する。とちぎの都市公園魅力アップ事業は、Park-PFIを導入する都市公園で、特定公園施設の整備負担金などに2800万円を確保した。
デジタルトランスフォーメーションの取り組みでは、インフラDX推進事業費に9億4300万円を盛り込み、水防情報の市町への自動配信システムの導入やAI画像解析による舗装点検、道路施設の点検結果や修繕履歴などにより劣化予測を行うシステムの導入、無人運転移動サービスの導入に向けた公道走行実験などを実施する。
スマート林業推進事業費は、森林資源や地形情報を取得するための航空レーザを活用した測量の実施などに1億3700万円を計上。県立学校校内無線LAN整備事業費は、未整備の特別教室や職員室などにLANを整備するため1億6900万円を予算化する。
カーボンニュートラル推進事業費は、あわせて10億0800万円を確保した。このうち脱炭素先行地域づくり支援事業費・県庁率先脱炭素化事業費は、市町の地域脱炭素の取り組み検討への支援や、PPAモデルによる県有施設への太陽光発電設備の導入などに6億1700万円を配分する。
再生可能エネルギー導入促進事業費と温室効果ガス排出削減事業費には1億4000万円を計上し、県内事業者の自家消費型太陽光発電設備等導入への助成や省CO2設備導入に対する助成などを実施する。
人材育成戦略では、「文化と知」の創造拠点整備構想策定事業費に3200万円を盛り込み、県立美術館・図書館・文書館を本県の文化振興の中核となる「文化と知」の創造拠点として整備する構想を策定する。
子ども総合科学館の大規模改修は、23年度から25年度までの3カ年で総事業費約33億円を投じ、展示物などを更新する計画で、新年度は7億6100万円を予算化し改修工事に着手する。
足利高等学校整備事業費は、県立学校再編計画に基づく足利高と足利女子高の統合校の校舎整備を22年度から24年度までの期間で実施している。新年度は外構工事にも着手する予定で、33億2400万円を計上する。
県林業大学校整備費は、施設の建築と外構工事、および開校準備に12億2700万円を確保する。林業大学校は21年度から23年度の期間で総事業費は約20億円を見込み、24年4月の開校を予定する。
健康長寿・共生戦略では、介護基盤整備等事業費に24億1700万円を予算化した。老人保健福祉施設整備助成費は広域型特別養護老人ホーム創設2カ所、増床2カ所と養護老人ホームの建て替え1カ所に8億1000万円を、障害者福祉施設整備助成費は障害福祉サービス事業所創設3カ所と放課後等デイサービス事業所創設1カ所の整備に3億4000万円をそれぞれ助成する。